二人でテレビを見ながらダラダラと鍋をつつく。
湯気の向こう、小さな画面の中でお笑い芸人がくだらない漫才をしているのを、私はぼんやりと見つめた。
「白浜くん、辛いものは大丈夫なの?」
あつあつの白菜を口に入れながら私は尋ねた。
「俺は大丈夫。でも実家にいた時は、あまりキムチって食べなかったんだよね。父さんが辛いもの嫌いでさ」
「へー、そうなんだ」
「うん。母さんは辛いの好きなんだけどさ」
へえ、白浜くんのお母さん、辛いものが好きなんだ。
と、ここで私はいい案を思いついた。
「そうだ。今度、白浜くんのお母さんも一緒にこの家に招待したらどうかな。お母さん一緒に鍋をつついたら楽しそう」
私が言うと、白浜くんは少し不機嫌そうな顔になった。
「えっ、三人で?」
白浜くんの嫌そうな顔を見て、私は少しドキッとしてしまった。
もしかして白浜くんとお母さんの間に、何かわだかまりがあったりするのかな?
一人暮らしをしているのも、まさかそのせいだったりするのだろうか。
「だめ?」
恐る恐る聞いてみると、白浜くんは少し照れたように笑った。
「……だって、せっかく彼女と一緒なのにお母さん同伴じゃちょっとさ」