体育館の外では、文化祭の終わりを告げる花火が鳴り響いていた。

「行こうか」
「うん」

 私たちは、手をつないでグラウンドに出た。

 二人で夜空を彩る光の花を見上げる。

 偽のカップルではなく、本当の彼氏と彼女として。

「この花火を二人で見るといつまでも幸せになれるらしいよ」

 白浜くんが微笑む。

「私、もうとっくに幸せだよ」

 私の小さな声は、花火の揚がる音でかき消された。

 薄暗くなってきた空に浮かぶ大輪の菊。

 鼻をかすめる煙の臭い。

 花火が上がるほんのわずかな数分間。

 私はとても幸せで、まるで夢みたいな時間だった。

 次々と大輪の花を咲かせては儚く消えていく花火。

 私は満足そうに花火を見上げる白浜くんの美しい横顔を見つめた。

 どんなことがあっても、ずっと白浜くんの側にいたい。

 二人一緒に時を刻んでいきたい。

 いつまでも、いつまでも――。