閉会式が終わると、私は急いで白浜くんの元へと向かった。

「白浜くん!」

 息を切らし、人混みに阻まれ、足元がふらつきそうになりながらも白浜くんを目指した。

 白浜くん――どこ⁉


 必死で目を凝らし、ステージ横で一人、後片づけをしている白浜くんを見つける。

 いた。あそこだ。

 私は見慣れた長身の後ろ姿に一目散に駆け寄った。

「――白浜くん!」

 私が声をかけると、白夜くんは大きく目を見開いて振り返った。

「花。どうしたの?」

「あのね、白浜くん」

 私は白浜くんが何かを言おうとしたのを遮り、きっぱりと言った。

「私、白浜くんのことが好き」

 自分でもびっくりするぐらい、はっきりとした声だった。

「だからこれからも、白浜くんと一緒にいたいの。だから――フリじゃなくて本当に付き合ってほしい」

 言い終わり、チラリと白浜くんの顔を見る。

 白浜くんはというと、びっくりしたような顔で固まっていた。

「あの、駄目? 私、告白してるんだけど……」

 私が不安になり問い直すと、白浜くんはようやくハッと我に返った。

「……いや、駄目じゃないよ。俺も花のことが好き」

「本当?」

「うん。好きじゃなきゃわざわざ文化祭であんな演出しないよ。でも――」

 白浜くんが下を向き、考えこむ。

「俺と付き合ったら、花に色々と迷惑をかけるかもしれない。言ってなかったけど、俺は体が弱くて――」

「そのことなら、アユ先生に聞いた。文化祭の準備中に倒れたって」

 私が言うと、白浜くんは小さくうなずいた。

「そっか、聞いてたんだ」

「でも、そんなの関係ない。どんなに大変なことがあっても、私は白浜くんの側にいたい。そんなことぐらいで好きになることはやめられないの。だから――」

 私は白浜くんの顔を真正面から見据えて言った。

「だから私、ずっと白浜くんの側にいたい」

 白浜くんは少しの間私を見つめた後、そっと微笑んでうなずいた。

「うん。俺も花の側にいたい」