午後は隣の教室との合同体育だった。
ウィリアムは外に出て空を見上げ手をかざした。
昼前に比べて日差しはさらに強くなっていた。
「運動はできるの?」
校庭の手前で目を細めるウィリアムに同級生のエリックが話しかけてきた。
「まだできないけど歩くくらいなら大丈夫だよ」
「そう。でも元気そうでよかった。ドイが心配してたからさ。一年眠ってたんでしょ?」
「うん。でもどこも悪くなっていないし、筋肉は落ちちゃったけどなんともないよ」
ウィリアムはそう言って口角を上げた。
「ねえ、ウィルって呼んでもいい?」
「もちろん」
「よかった。ウィルは話しやすいね」
エリックははじけるように笑った。
「ウィル!」
その声にウィリアムはピタリと立ち止まって振り返った。
そして驚きに目を見開いた。
「ポール!」
振り返った先には昨年教室が同じだった同級生がいた。
「君どうしてこの授業にいるの?」
この合同体育は五年生しか参加していないはずだった。
「へへ、うっかり留年したんだ」
ポールは手を後頭部にやり照れたように笑って言った。
「うっかり? 君そんなに成績悪かったっけ?」
「五月の試験を受けそこなってさ……」
そう言ってポールは気まずそうな顔を付け足した。
「嘘だろ……」
ウィリアムは唖然とした。
義務教育において、五月の学年末試験を受けることによって生徒達は次の学年に上がっていく。
その試験は二日かけて行われるが、なんらかの理由で受けることができなかった場合には後日追試を受けることができた。
また試験は在籍確認のために行われているようなもので留年する者は滅多にいなかった。
「お祖父さんの家でちょっといろいろあってさ……」
「いろいろ?」
「そうなんだ。実は……」
ポールが言いかけたそのとき、笛の音が鳴った。
「おーい、君達急ぎなさい」
校庭の中央から教師の呼ぶ声がしてエリックとポールは駆けていった。
ウィリアムは外に出て空を見上げ手をかざした。
昼前に比べて日差しはさらに強くなっていた。
「運動はできるの?」
校庭の手前で目を細めるウィリアムに同級生のエリックが話しかけてきた。
「まだできないけど歩くくらいなら大丈夫だよ」
「そう。でも元気そうでよかった。ドイが心配してたからさ。一年眠ってたんでしょ?」
「うん。でもどこも悪くなっていないし、筋肉は落ちちゃったけどなんともないよ」
ウィリアムはそう言って口角を上げた。
「ねえ、ウィルって呼んでもいい?」
「もちろん」
「よかった。ウィルは話しやすいね」
エリックははじけるように笑った。
「ウィル!」
その声にウィリアムはピタリと立ち止まって振り返った。
そして驚きに目を見開いた。
「ポール!」
振り返った先には昨年教室が同じだった同級生がいた。
「君どうしてこの授業にいるの?」
この合同体育は五年生しか参加していないはずだった。
「へへ、うっかり留年したんだ」
ポールは手を後頭部にやり照れたように笑って言った。
「うっかり? 君そんなに成績悪かったっけ?」
「五月の試験を受けそこなってさ……」
そう言ってポールは気まずそうな顔を付け足した。
「嘘だろ……」
ウィリアムは唖然とした。
義務教育において、五月の学年末試験を受けることによって生徒達は次の学年に上がっていく。
その試験は二日かけて行われるが、なんらかの理由で受けることができなかった場合には後日追試を受けることができた。
また試験は在籍確認のために行われているようなもので留年する者は滅多にいなかった。
「お祖父さんの家でちょっといろいろあってさ……」
「いろいろ?」
「そうなんだ。実は……」
ポールが言いかけたそのとき、笛の音が鳴った。
「おーい、君達急ぎなさい」
校庭の中央から教師の呼ぶ声がしてエリックとポールは駆けていった。