【原文】
よろづにいみじくとも、色好まざらん男は、いとさうざうしく、玉の巵の底なき心地ぞすべき。
露霜にしほたれて、所さだめずまどひ歩き、親のいさめ、世のそしりをつつむに心のいとまなく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるはひとり寢がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
さりとて、ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべき業なれ。

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【現代版訳】

 ――放課後、マックにて。

「あたしの今カレさぁ、ちょータイプの顔なんだけど」
「うん」
「なんか、あたしのことぜんぜんキョーミないっぽいのよね? あたしから告ったから仕方ないのかもしれないけどさ……」
「ちなみにどういうときそう思うの?」
「これまでのデートぜんぶ私から誘ってるし、一緒にいるのに手も繋いできてくんないし。しかも会計は割り勘」
「やば。いくら好みの顔でもそれはムリだわ」
「でしょ? 別れようと思う」

 ※恋に重要なのは顔面よりときめきである。