詩集 声にならない言葉を君に

君に出会った確率は何分の一なんだろう?

君と同じ国に住み、同じ都市に住み、君と同じ学校に通って、君と同じクラスになる確率。

君を好きになる確率。

とんでもない確率できっと私は恋に落ちた。

君と両思いになるのはどれくらいの確率なんだろう?

そんなことはわからないけど、君を見るだけで、奇跡的に目が合うだけで、私は幸せなんだ。
ダメな自分が嫌いだ。

ネガティブな考え方もひねくれた見方もひっくるめて好きになれない。

辛い辛い毎日からいつ抜け出せる?

私は無力で才能がない。

見た目も微妙。おしゃれも微妙。

勉強に絶望。

でも、いつか何かで逆転できるかもしれない、淡い希望を胸に君を思う。

そして、君に好かれる要素なんて何も無いのに勝手に期待する。

いつか誰かがなんとかしてくれるだろう。

シンデレラ症候群、中二病、上等だ。
あと10センチ近ければ、君の手に触れられるのに。

心の距離が近ければ、本音で話せるのに。

今の私はまだまだ緊張して言葉をかわすこともできない。

つまり、心を交わすことなんてできるはずもない。

ほんの少しの勇気があれば、挨拶くらいできるかもしれない。

今日こそおはようが言えたら。

笑顔で言えたらいいのに。
こんなはずじゃなかった。

想像していた私は

もっと輝いているはずで。

もっと友達がいるはずで。

もっと何でもできるはずで。

でも、実際は違うんだ。

全然役に立たなくて、友達なんていなくて。

ひとりぼっち。

来年は好きな人ができたらいいな。

とりあえず、今年の目標ができた。

ちっぽけな目標かもしれないけど、こんなはずじゃなかった女を脱したい。
あの虹の向こうに何がある?

あの風の向こうに何がある?

辛くて厳しい日々も多分私は何とか乗り切るだろうけど、何者になれる?

何者かになった未来の自分に会えたなら、正しい未来に存在しているのか聞いてみたい。

メッセージの返事ひとつに、喜怒哀楽を支配される私の未来が知りたい。

こんな私でも生きて仕事をして恋愛できるのでしょうか?
ものすごく頑張って文章を考えて送信。

既読がつかない。

もしかして、あえて読まない?

もしかして、ブロックされた?

もしかして、忙しい?

複数のもしかして? に囲まれて、私は取り憑かれる。気になって何もできない。

既読がつかない原因は時間が解決してくれるのかもしれない。

どんな名探偵もその人の心の中を覗くことはできないのだから。
おまえのそーいうところ、好きだな。

無責任な好きは悪だ。

変に期待してしまう。

馬鹿な私はもしかしてと思うんだ。

好きとか言うな。

でも、本当に好きならば、好きと言え。

むしろ言え。

自分から言えるわけないから。
暑いのか?

初夏の日差しの中、彼は問う。

別にと私は答える。

顔が赤くなっているのはわかる。

おでこに手のひらを当てて体温チェックされたせいで体温は確実に上昇した。

見つめられただけで体温が1℃程度は上がる。触れられたら体感温度は3℃上がる。

おまえのせいだと言いたいけど、言えない。

気配りできるそんな優しいところが好きなんだけどな。
雨の中、せつなくて、悲しくて、涙が出る。

雨は涙を隠す隠れ蓑。

雨にまぎれて泣いてもいい?

雨のせいにして涙はなかったことにしよう。

涙じゃなくて、雨粒だから、カウントしないでね。

上を向くと少し涙が止まる気がする。

涙が流れそうになったら、上を向こう。

ずぶ濡れになって全部忘れてしまおう。

これが私らしい立ち直り方。