カタカタカタカタ
カチャッ
タイプライターの音がランタン一つの薄暗い部屋に響く。
謎の人物のシルエットがランタンの揺れる炎の影となり
狭い部屋の壁に巨大な怪物のように浮かび上がる
”王女の生存は確認
差し詰め安全と思われる
ところがかなりの反王国組織の重役の元に捕まっている様子
引き続き警戒が必要
しかし抵抗があまり見られないため王女自らの意思の可能性
相手を逆立てないための作戦かもしれないが真意は不明
王女の引き戻し、裏組織の特定、撲滅を明確な目的に。”
カチャ
カタカタカタ
カチャッ
その人物は最後の文字を打つとカップに入った紅茶を飲み一息ついて
伏せた目で報告書を見つめてつぶやいた。
「…すべては御国のために。」