一体、鳳魅さんはどちらの味方なのだ。
どうにもこの状況を第三者の目線で完全に面白がって観戦しているような気がしてならない。
私は未だ笑い続ける彼へ冷ややかな眼差しを向けた。
まあいい、取り敢えずは目の前の仕事に集中することにしよう。
「あ、そうそう忘れるとこだったよ。実は時雨ちゃんに会わせたい子がいたんだ」
「会わせたい子?」
「おーい!時雨ちゃんが来たから入っておいで~」
鳳魅さんは何かを思い出したかのようにソファーから身を乗り出すと隣部屋へと声をかけた。
先客でも来ているのだろうか。
「そう心配しなくとも大丈夫。君とは既に面識がある子だから」
既に面識がある??
一体誰のことを言っているのか。
彼が声をかけた方へ私は注意深く目を向けた。
まさかここに来て白夜様召喚?
…いやそれはないか。
「失礼します」
向こう側から声がかかると開かれた扉。
中から出てきたのは一人の青年だった。
「お、どうやら上手くいったようだね」
紺青色の髪。
よく見れば二の腕にも同じく紺青色の、だが鱗のような模様の柄がびっしりと刻み込まれている。
瞳は三白眼の綺麗な千草色。
白く緩いTシャツに黒いスキニーパンツのスタイリッシュな風貌の青年だった。
白夜様には劣るがそれでもなかなかの美形だと思う。
「(え?誰だろうこの人…)」
面識があるとは言っていたけど。
正直言って私にはまったく身に覚えのない人だ。
うーむ、初めましてだ。
そんな考え込む私の様子を見かねた鳳魅さんがこちらへ声をかけた。
「んー?時雨ちゃん、何をそんなに考え込んでるんだい?感動の再会じゃないか」
「か、感動の…再会?」
「そうそう。ずいぶんと暫くの間、君と会えなかったことを彼も憂いていてねぇ。ね?」
そう言い鳳魅さんが青年へ微笑めば彼もまた私に微笑んだ。
え?
いやいや、だから本当に私は知らないんだってば!!
すると青年は私の方まで近づいて来れば手を取り微笑んだ。いや、正しくは微笑んだように見えただ。
何故なら口元は黒いマスク型の布で覆われているせいか、その表情を汲み取ることが出来なかったからだ。
「時雨殿、お久しぶりですね。その後体調の方はいかがでしょうか?大変申し訳ありません、僕の失態により暫くはお辛い日々を過ごされたことでございましょう。お許し頂けるのであれば直ぐにでも神聖力の調整を」
「あ、あの…」
「はい?」
「どちら様でしょうか?」
その一言で部屋はシーンと静まり返った。
え、もしかして私、地雷踏んだ?
鳳魅さんも目を丸くしてこちらを見ている。
でも本当に私には身の覚えがないのだ。
「ああ!この姿でお会いするのは今回が初めてでしたよね。申し訳ございません、改めて自己紹介を。青龍です」
青龍?青龍…
「おや、まだ分かりませんか?では呼び方を変えてみましょう。僕はあの白蛇さんです」
「え…、え!!貴方があの、し、白蛇さん⁈」
なんということだ!
彼があの白蛇さんだと言うのか。
あの頃の姿とは似ても似つかないその風貌。
だってついこの間までシュルシュルと白くて小さい綺麗な身体をくねらせながら私の腕に巻き付いていたではないか。
「時雨ちゃん、だいぶ混乱してるようだね。だが何を疑おう正真正銘、彼はあの白蛇君さ」
「で、でも。あの時はただの蛇だったのに!」
「あれは進化前の、比較的雑魚いお姿でしたからね。これが本来のお姿ですよ。ほら、ここにも書いてあるでしょう?」
そう言って彼が指さした部分に目を向けてみた。
よく見てみれば黒く口元を覆う布からは紙らしきものが垂れ下がっている。
そして紙には『青龍』の文字が。
どうして今まで気がつかなかったのだろう。
どうにもこの状況を第三者の目線で完全に面白がって観戦しているような気がしてならない。
私は未だ笑い続ける彼へ冷ややかな眼差しを向けた。
まあいい、取り敢えずは目の前の仕事に集中することにしよう。
「あ、そうそう忘れるとこだったよ。実は時雨ちゃんに会わせたい子がいたんだ」
「会わせたい子?」
「おーい!時雨ちゃんが来たから入っておいで~」
鳳魅さんは何かを思い出したかのようにソファーから身を乗り出すと隣部屋へと声をかけた。
先客でも来ているのだろうか。
「そう心配しなくとも大丈夫。君とは既に面識がある子だから」
既に面識がある??
一体誰のことを言っているのか。
彼が声をかけた方へ私は注意深く目を向けた。
まさかここに来て白夜様召喚?
…いやそれはないか。
「失礼します」
向こう側から声がかかると開かれた扉。
中から出てきたのは一人の青年だった。
「お、どうやら上手くいったようだね」
紺青色の髪。
よく見れば二の腕にも同じく紺青色の、だが鱗のような模様の柄がびっしりと刻み込まれている。
瞳は三白眼の綺麗な千草色。
白く緩いTシャツに黒いスキニーパンツのスタイリッシュな風貌の青年だった。
白夜様には劣るがそれでもなかなかの美形だと思う。
「(え?誰だろうこの人…)」
面識があるとは言っていたけど。
正直言って私にはまったく身に覚えのない人だ。
うーむ、初めましてだ。
そんな考え込む私の様子を見かねた鳳魅さんがこちらへ声をかけた。
「んー?時雨ちゃん、何をそんなに考え込んでるんだい?感動の再会じゃないか」
「か、感動の…再会?」
「そうそう。ずいぶんと暫くの間、君と会えなかったことを彼も憂いていてねぇ。ね?」
そう言い鳳魅さんが青年へ微笑めば彼もまた私に微笑んだ。
え?
いやいや、だから本当に私は知らないんだってば!!
すると青年は私の方まで近づいて来れば手を取り微笑んだ。いや、正しくは微笑んだように見えただ。
何故なら口元は黒いマスク型の布で覆われているせいか、その表情を汲み取ることが出来なかったからだ。
「時雨殿、お久しぶりですね。その後体調の方はいかがでしょうか?大変申し訳ありません、僕の失態により暫くはお辛い日々を過ごされたことでございましょう。お許し頂けるのであれば直ぐにでも神聖力の調整を」
「あ、あの…」
「はい?」
「どちら様でしょうか?」
その一言で部屋はシーンと静まり返った。
え、もしかして私、地雷踏んだ?
鳳魅さんも目を丸くしてこちらを見ている。
でも本当に私には身の覚えがないのだ。
「ああ!この姿でお会いするのは今回が初めてでしたよね。申し訳ございません、改めて自己紹介を。青龍です」
青龍?青龍…
「おや、まだ分かりませんか?では呼び方を変えてみましょう。僕はあの白蛇さんです」
「え…、え!!貴方があの、し、白蛇さん⁈」
なんということだ!
彼があの白蛇さんだと言うのか。
あの頃の姿とは似ても似つかないその風貌。
だってついこの間までシュルシュルと白くて小さい綺麗な身体をくねらせながら私の腕に巻き付いていたではないか。
「時雨ちゃん、だいぶ混乱してるようだね。だが何を疑おう正真正銘、彼はあの白蛇君さ」
「で、でも。あの時はただの蛇だったのに!」
「あれは進化前の、比較的雑魚いお姿でしたからね。これが本来のお姿ですよ。ほら、ここにも書いてあるでしょう?」
そう言って彼が指さした部分に目を向けてみた。
よく見てみれば黒く口元を覆う布からは紙らしきものが垂れ下がっている。
そして紙には『青龍』の文字が。
どうして今まで気がつかなかったのだろう。