「あれ?談話室?」
部屋はさっきまでと違って少し薄暗い。
アヅチに案内されるがまま奥へと進めば、そこは図書室というよりかは談話室に近く、ソファーや机が配置されモダンな造りをした部屋が広がっていた。
ーーしぐれ、こっち!
アヅチが示した棚へと近づけばそのうちの一冊を手に取る。
「…術家と仙狐の歴史」
表紙に書かれた題名を声に出して読めば謎に緊張感が走った。意を決して恐る恐るページを開こうとする…が?
「あれ?」
ーーどうしたの?
「ページが…開けない」
「こ~ら」
「!!」
突然、後ろからは声がすると後ろ向きの私の背後には影がかかった。
「それは君のような子が触っていいものじゃないよ」
声の主は硬直したまま動けないでいる私に声をかけると、後ろから腕を伸ばし瞬時に本を奪い取ってしまう。
「あ、」
本を奪われ声を漏らすも、ふと我に返った私が慌てて後ろを振り向けば、そこにいたのは片手を棚についてこちらを見下ろす一人の男性。銀色の長い髪に金色の瞳が怪しく光る、片目には眼帯をつけたとても美しい容姿をしていた。
「…術家と仙狐の歴史ねえ~」
手に持つ本をチラリと見れば男性がポツリと呟いた。
私はどうしたらいいのか分からず見つめることしかできない。ふと目が会えば男性はニンマリと笑ってこちらを見つめる。
「こんな古い本、もう誰も見ないものとばかり思っていたけど。どうやらそれも思い違いだったようだね」
男性はそう言い本を元ある棚に戻した。
「あ、あの、、」
「ん~?」
「も、申し訳ございません!」
私がバッと頭を下げれば男性は目を丸くした。
「許可なく黙ってここに入ってしまって。どんな罰でもうけますので!!」
きっとこの人は、ここの管理者として見回りにきた人に違いない。運悪く見つかってしまっては、もう素直に謝るしかないなと私は覚悟を決めて必死に謝った。
「はは、別にここへ入ったことについては怒ってないから。頭をあげなよ」
笑い声が聞こえ、顔を上げれば思っていた反応とは違い、男性は怒ることもなく笑っていたので驚いてしまう。
「…怒らないのですか?」
「怒る?別に素直に謝ってくれたんだし。それに、僕は君のような可愛いレディーには怒らない主義なの♡」
目を細めて言う言葉は妙に色気がある。
顔がいいから尚のこと反応に困ってしまう。
口説いているつもりなのか女性慣れしてるのか分からないが、こういう言葉は白夜様で間に合ってるので正直やめてほしい。まあ怒られないだけ自分は運が良かったのだろう。
「ここさ、君も知っていると思うけど関係者以外は入れない場所なの」
「はい…」
「でも万が一にも妖が入った時の保険にかけていてね。ここにある本は全部、関係者以外開くことはできない仕組みになってるんだ」
え、、、
なら私がここに入れたとしても、ここにある本は絶対に見られないということ?
だから本をめくろうとしても開かなかったのか。
それを聞いて酷く落ち込んでしまう。
「ふふ、何か知りたいことでもあったかい?」
男性はそんな落胆する私にクスリと笑った。
「いえ…、別に何も」
私はフルフルと頭を横に振った。
ここに来れば何か知れると思ったが、やはりそう簡単にいくはずもないのか。
また一からやり直しだ。
「でも変だな~、ここは普通の妖ならまず通れない。ましてやあの鬼神君や王家の者でもない限りは通れないはずなのに」
「!!」
「さてここでクエスチョン!一体、君は何者なのかな?」
男性は興味深そうにこちらへと目を向ければ私の姿を舐めるように観察してくる。
不味い…
私が人間であることは絶対にバレてはいけない。
「え、えっと…私は」
どうしよう!
焦ってしまい、どう誤魔化したらいいのか分からない。
こんな時、白夜様がいてくれたら、、あ。
「あ、あの!実は私、白夜様と知り合いなんです!」
「鬼神君と?」
男性は私から白夜様の名前が出ると驚いていた。
「はい、さっきまで一緒に居たんですがはぐれてしまって。仕方なく一人で探索してたらここに迷い込んでしまったんです」
噓は言ってない。
探索してたのは事実であって、迷い込んだのはある意味アヅチの存在が大きかったから。
まあ白夜様と、っていうのは嘘になるが。
「鬼火に純白晶のネックレス。なるほど、確かに君からは何か強い妖力の気配がする」
男性は私の肩で静置するアヅチに目を向け、次にネックレスへと目を向けた。
「そのネックレス、随分と強い力が込められているね。あの鬼神君が作ったものなのかな?それにしても強力だ。…実に興味深い」
男性はネックレスを見つめ目を細めれば、コツコツとこちらに向かって歩いてくる。
私は嫌な予感がして一歩ずつ男性から距離を取る。
相手は妖、何かされても自分では勝ち目がない。
ゆっくりと後ろに下がるも直ぐ後ろは棚。
運悪く行き止まりを喰らえば目の前には男性が立ちはだかる。
怖い…。
金色の瞳が私を見下ろせば体が縮こまってしまう。
私はネックレスをグッと握りしめた。
「ねえ、」
「…」
「そのネックレス、外してみてくれないかな?」
部屋はさっきまでと違って少し薄暗い。
アヅチに案内されるがまま奥へと進めば、そこは図書室というよりかは談話室に近く、ソファーや机が配置されモダンな造りをした部屋が広がっていた。
ーーしぐれ、こっち!
アヅチが示した棚へと近づけばそのうちの一冊を手に取る。
「…術家と仙狐の歴史」
表紙に書かれた題名を声に出して読めば謎に緊張感が走った。意を決して恐る恐るページを開こうとする…が?
「あれ?」
ーーどうしたの?
「ページが…開けない」
「こ~ら」
「!!」
突然、後ろからは声がすると後ろ向きの私の背後には影がかかった。
「それは君のような子が触っていいものじゃないよ」
声の主は硬直したまま動けないでいる私に声をかけると、後ろから腕を伸ばし瞬時に本を奪い取ってしまう。
「あ、」
本を奪われ声を漏らすも、ふと我に返った私が慌てて後ろを振り向けば、そこにいたのは片手を棚についてこちらを見下ろす一人の男性。銀色の長い髪に金色の瞳が怪しく光る、片目には眼帯をつけたとても美しい容姿をしていた。
「…術家と仙狐の歴史ねえ~」
手に持つ本をチラリと見れば男性がポツリと呟いた。
私はどうしたらいいのか分からず見つめることしかできない。ふと目が会えば男性はニンマリと笑ってこちらを見つめる。
「こんな古い本、もう誰も見ないものとばかり思っていたけど。どうやらそれも思い違いだったようだね」
男性はそう言い本を元ある棚に戻した。
「あ、あの、、」
「ん~?」
「も、申し訳ございません!」
私がバッと頭を下げれば男性は目を丸くした。
「許可なく黙ってここに入ってしまって。どんな罰でもうけますので!!」
きっとこの人は、ここの管理者として見回りにきた人に違いない。運悪く見つかってしまっては、もう素直に謝るしかないなと私は覚悟を決めて必死に謝った。
「はは、別にここへ入ったことについては怒ってないから。頭をあげなよ」
笑い声が聞こえ、顔を上げれば思っていた反応とは違い、男性は怒ることもなく笑っていたので驚いてしまう。
「…怒らないのですか?」
「怒る?別に素直に謝ってくれたんだし。それに、僕は君のような可愛いレディーには怒らない主義なの♡」
目を細めて言う言葉は妙に色気がある。
顔がいいから尚のこと反応に困ってしまう。
口説いているつもりなのか女性慣れしてるのか分からないが、こういう言葉は白夜様で間に合ってるので正直やめてほしい。まあ怒られないだけ自分は運が良かったのだろう。
「ここさ、君も知っていると思うけど関係者以外は入れない場所なの」
「はい…」
「でも万が一にも妖が入った時の保険にかけていてね。ここにある本は全部、関係者以外開くことはできない仕組みになってるんだ」
え、、、
なら私がここに入れたとしても、ここにある本は絶対に見られないということ?
だから本をめくろうとしても開かなかったのか。
それを聞いて酷く落ち込んでしまう。
「ふふ、何か知りたいことでもあったかい?」
男性はそんな落胆する私にクスリと笑った。
「いえ…、別に何も」
私はフルフルと頭を横に振った。
ここに来れば何か知れると思ったが、やはりそう簡単にいくはずもないのか。
また一からやり直しだ。
「でも変だな~、ここは普通の妖ならまず通れない。ましてやあの鬼神君や王家の者でもない限りは通れないはずなのに」
「!!」
「さてここでクエスチョン!一体、君は何者なのかな?」
男性は興味深そうにこちらへと目を向ければ私の姿を舐めるように観察してくる。
不味い…
私が人間であることは絶対にバレてはいけない。
「え、えっと…私は」
どうしよう!
焦ってしまい、どう誤魔化したらいいのか分からない。
こんな時、白夜様がいてくれたら、、あ。
「あ、あの!実は私、白夜様と知り合いなんです!」
「鬼神君と?」
男性は私から白夜様の名前が出ると驚いていた。
「はい、さっきまで一緒に居たんですがはぐれてしまって。仕方なく一人で探索してたらここに迷い込んでしまったんです」
噓は言ってない。
探索してたのは事実であって、迷い込んだのはある意味アヅチの存在が大きかったから。
まあ白夜様と、っていうのは嘘になるが。
「鬼火に純白晶のネックレス。なるほど、確かに君からは何か強い妖力の気配がする」
男性は私の肩で静置するアヅチに目を向け、次にネックレスへと目を向けた。
「そのネックレス、随分と強い力が込められているね。あの鬼神君が作ったものなのかな?それにしても強力だ。…実に興味深い」
男性はネックレスを見つめ目を細めれば、コツコツとこちらに向かって歩いてくる。
私は嫌な予感がして一歩ずつ男性から距離を取る。
相手は妖、何かされても自分では勝ち目がない。
ゆっくりと後ろに下がるも直ぐ後ろは棚。
運悪く行き止まりを喰らえば目の前には男性が立ちはだかる。
怖い…。
金色の瞳が私を見下ろせば体が縮こまってしまう。
私はネックレスをグッと握りしめた。
「ねえ、」
「…」
「そのネックレス、外してみてくれないかな?」