声はどこからともなく聞こえてくれば驚いて周りを見渡した。
だが誰もいない。
おかしいなと思っていればどうやら声の主は上から聞こえてくる。
「昼寝の邪魔。喧嘩ならよそでやって」
見上げれば直ぐ後方には一本の大樹、その枝分かれした場所では一人の男の子が寝ころんだ姿勢でこちらを見下していた。鬱陶しそうに眠い目を擦れば欠伸をする。
「は?誰よ、なんなのよアンタ。急に出てきて首をツッコまないで!」
「ツッコんだつもりないんだけど。あとその声うるさいしデカイ」
「なんですって⁈」
彼は強気な態度に屈することなく言葉を投げ返せば耳を手で塞ぐ。
攻撃の矛先が逸れたのはいいが、一体どうしたものか。
時雨は逆に困ってしまった。
第三者まで巻き込むつもりはなかったのだ。
「君の声がうるさい原因って元?それとも後天的に身についたその底意地悪い性格のせい?」
「なんですってー!!」
彼女はそれを聞くと顔を真っ赤にさせていた。
どうやら相当お怒りのようだ。
またもや手には妖力を籠めれば相手を威嚇した。
逆鱗に触れてしまったようだ。
時雨は冷や汗が止まらなかった。
「ま、どっちでもいいけど。昼寝の邪魔。さっさとどっか行って」
彼は臆することなくそれを一瞥だけすれば、大欠伸をかます。
もうこちらには見向きもしなかった。
馬鹿にされた挙句、完全に自分を見下した態度と意識を向けられていないと分かれば、横にいる彼女は悔しさと羞恥で唇を噛む。
「ッ…何よ、子供のくせに生意気ね。覚えてなさい、この私を怒らせたらどうなるか!アンタなんてお父様に言いつけて懲らしめてやるんだから!!」
彼女は去り際にそう言葉を吐き捨てれば、最後に時雨を睨みつけ行ってしまう。まるで嵐が過ぎ去ったかのような静寂の中、時雨はポツンと一人取り残された感が半端ない。
(なんだったんだ…この時間は、、)
自分でもよく分からない。
そんな謎の空気をまといつつ、再び視線を木の上に戻す。
そこにはまだ彼がいて、寝てしまったのだろうか何も応答がない。
「……何?」
だが視線に気付いたのか、彼は疲れた顔でコッチを向いた。
「要件がないなら消えて。邪魔」
「あ、えっと、、、助けてくれてありがとう」
慌ててお礼を言えば向こうからは反応がない。
だが暫くして彼は口を開いた。
「…別に。昼寝の邪魔だっただけだし。君を助けた訳じゃない」
ぶっきらぼうにそれだけ告げれば再び向こうを向いてしまう。
「それでも貴方のお陰で助かったわ。でないと今頃、私は串刺しにされていたかもしれないし」
「…そ」
直後、彼はむくりと起き上がれば軽やかに木の上から降りてくる。
「あれ?昼寝はもういいの?」
「さっきの騒ぎで目が覚めちゃったからもういい」
欠伸をすればどこかまだ眠たそう。
よく見ればどこか疲れ切った顔をしている。
寝不足なのかな?
背は同じかやや高いぐらい、体型を隠すように一回り大きなこれまたダボッとした羽織。内側にはシャツとネクタイを着用した書生のような格好だった。
「…ごめんなさい」
「別に。そろそろ帰るとこだったから」
「もしかして貴方もこの宿に泊まっているの?」
「??いや、違うけど」
なんだ違うのか。
同じ宿なら良い話し相手ができたと思ったのに…
「あ、私は久野時雨。貴方は?」
「…」
名前を聞くも何故か彼は黙ってこちらを見つめるだけ。
何を考えているのか分からない目は海のように青く、肩までかかる同じく青い髪は頭のてっぺんが黒いプリン頭が特徴的だった。よく見れば頭には角が生えている。
鬼の妖?でいいのかな??
「…グプス」
「え?」
「…名前、」
「グプス?それが貴方の名前?」
その問いにグプスはこくりと頷く。
グプスかぁ…なんだか変わった名前。
ここに来てから皆の名前を聞いても現世にいた頃とあまり変わらない。
ただ現代であればキラキラネームや時代ありきなものが目立つ現世とは違って、隠世では和風っぽい古風な名前が基本。そんなだから彼の名前を聞いた時は違和感があった。
「えっと、、グプス君はよくここに来るの?」
「まあ…」
「そっか。私は今日初めてここに来たんだ!あ、妖都に来るのは二回目だけど」
「ふ~ん」
続かない!!
なんでこんなに会話が続かないの⁈
時雨は気まずくなるが、なんとか会話を広げようと必死に考える。
「二回目とはいえ、妖都って妖も多いしちょっと怖いんだよね。今回は観光も兼ねて来てるんだけど…でも一人だとやっぱ怖くて」
「まあ…妖都だから。ここ中央区だし」
チラリと目をやったグプスの先、そこには大きくそびえ立つ宮殿のようなもの。
あそこって王家の住む宮だよね??
グプスは少しだけ視線を時雨にやれば、その懐に目をやった。
「それ、変わったの持ってるね」
「え、」
ふいにグプスが指さすのは時雨の懐の中、鬼頭家のまじない札を取り出せば彼は違うと言う。首を傾げれば「それじゃない。もう一つの方」と言われ、ハッと思い出してもう一つの札を取り出した。それはあの時、不思議な男性から貰った呪符だった。
だが誰もいない。
おかしいなと思っていればどうやら声の主は上から聞こえてくる。
「昼寝の邪魔。喧嘩ならよそでやって」
見上げれば直ぐ後方には一本の大樹、その枝分かれした場所では一人の男の子が寝ころんだ姿勢でこちらを見下していた。鬱陶しそうに眠い目を擦れば欠伸をする。
「は?誰よ、なんなのよアンタ。急に出てきて首をツッコまないで!」
「ツッコんだつもりないんだけど。あとその声うるさいしデカイ」
「なんですって⁈」
彼は強気な態度に屈することなく言葉を投げ返せば耳を手で塞ぐ。
攻撃の矛先が逸れたのはいいが、一体どうしたものか。
時雨は逆に困ってしまった。
第三者まで巻き込むつもりはなかったのだ。
「君の声がうるさい原因って元?それとも後天的に身についたその底意地悪い性格のせい?」
「なんですってー!!」
彼女はそれを聞くと顔を真っ赤にさせていた。
どうやら相当お怒りのようだ。
またもや手には妖力を籠めれば相手を威嚇した。
逆鱗に触れてしまったようだ。
時雨は冷や汗が止まらなかった。
「ま、どっちでもいいけど。昼寝の邪魔。さっさとどっか行って」
彼は臆することなくそれを一瞥だけすれば、大欠伸をかます。
もうこちらには見向きもしなかった。
馬鹿にされた挙句、完全に自分を見下した態度と意識を向けられていないと分かれば、横にいる彼女は悔しさと羞恥で唇を噛む。
「ッ…何よ、子供のくせに生意気ね。覚えてなさい、この私を怒らせたらどうなるか!アンタなんてお父様に言いつけて懲らしめてやるんだから!!」
彼女は去り際にそう言葉を吐き捨てれば、最後に時雨を睨みつけ行ってしまう。まるで嵐が過ぎ去ったかのような静寂の中、時雨はポツンと一人取り残された感が半端ない。
(なんだったんだ…この時間は、、)
自分でもよく分からない。
そんな謎の空気をまといつつ、再び視線を木の上に戻す。
そこにはまだ彼がいて、寝てしまったのだろうか何も応答がない。
「……何?」
だが視線に気付いたのか、彼は疲れた顔でコッチを向いた。
「要件がないなら消えて。邪魔」
「あ、えっと、、、助けてくれてありがとう」
慌ててお礼を言えば向こうからは反応がない。
だが暫くして彼は口を開いた。
「…別に。昼寝の邪魔だっただけだし。君を助けた訳じゃない」
ぶっきらぼうにそれだけ告げれば再び向こうを向いてしまう。
「それでも貴方のお陰で助かったわ。でないと今頃、私は串刺しにされていたかもしれないし」
「…そ」
直後、彼はむくりと起き上がれば軽やかに木の上から降りてくる。
「あれ?昼寝はもういいの?」
「さっきの騒ぎで目が覚めちゃったからもういい」
欠伸をすればどこかまだ眠たそう。
よく見ればどこか疲れ切った顔をしている。
寝不足なのかな?
背は同じかやや高いぐらい、体型を隠すように一回り大きなこれまたダボッとした羽織。内側にはシャツとネクタイを着用した書生のような格好だった。
「…ごめんなさい」
「別に。そろそろ帰るとこだったから」
「もしかして貴方もこの宿に泊まっているの?」
「??いや、違うけど」
なんだ違うのか。
同じ宿なら良い話し相手ができたと思ったのに…
「あ、私は久野時雨。貴方は?」
「…」
名前を聞くも何故か彼は黙ってこちらを見つめるだけ。
何を考えているのか分からない目は海のように青く、肩までかかる同じく青い髪は頭のてっぺんが黒いプリン頭が特徴的だった。よく見れば頭には角が生えている。
鬼の妖?でいいのかな??
「…グプス」
「え?」
「…名前、」
「グプス?それが貴方の名前?」
その問いにグプスはこくりと頷く。
グプスかぁ…なんだか変わった名前。
ここに来てから皆の名前を聞いても現世にいた頃とあまり変わらない。
ただ現代であればキラキラネームや時代ありきなものが目立つ現世とは違って、隠世では和風っぽい古風な名前が基本。そんなだから彼の名前を聞いた時は違和感があった。
「えっと、、グプス君はよくここに来るの?」
「まあ…」
「そっか。私は今日初めてここに来たんだ!あ、妖都に来るのは二回目だけど」
「ふ~ん」
続かない!!
なんでこんなに会話が続かないの⁈
時雨は気まずくなるが、なんとか会話を広げようと必死に考える。
「二回目とはいえ、妖都って妖も多いしちょっと怖いんだよね。今回は観光も兼ねて来てるんだけど…でも一人だとやっぱ怖くて」
「まあ…妖都だから。ここ中央区だし」
チラリと目をやったグプスの先、そこには大きくそびえ立つ宮殿のようなもの。
あそこって王家の住む宮だよね??
グプスは少しだけ視線を時雨にやれば、その懐に目をやった。
「それ、変わったの持ってるね」
「え、」
ふいにグプスが指さすのは時雨の懐の中、鬼頭家のまじない札を取り出せば彼は違うと言う。首を傾げれば「それじゃない。もう一つの方」と言われ、ハッと思い出してもう一つの札を取り出した。それはあの時、不思議な男性から貰った呪符だった。



