△▼△
おかしい、、、
一体、あの鬼は彼女をどこに連れていったというのだ。
青龍は一人、鬼頭家の敷地内を駆け回れば消えた主の行方を血眼になって探し求めていた。
「チッ、クソ鬼が。俺からあの方を攫いやがって」
舌打ちをこぼせば夜の廊下を突き進む。
すれ違う使用人に声をかけ問いかけるも、誰一人彼女の姿は見ていないとこぼす。屋敷の構造はここに来た当初全て把握した。周を広げ屋敷の端から端まで探ってみるも、彼女の気配は感じられない。鬼神に連れ去られてから時間はさほど経過していない。せっかく彼女と楽しいひとときを送っていたというのに。
嫌がる彼女を無理やり連れて行ったことへの鬼神に対する苛立ちは治まることを知らなかった。
「…クソ。さてはあの鬼、俺に見つからないよう結界を張りやがったな」
彼ほどの力があれば人一人視界から隠すことなど容易い。
だが間違えても自分は四神なのだ。
妖ごときが神獣である自分を差し置いて、こうも高度な術をかけてきたとなると腹が立ってしょうがない。
「アイツ…次に会った時は覚えとけよ、、」
「おいオマエ!!」
「!!」
突如、後ろから聞こえた声。
振り返ればそこには例の鬼神。
相当のご立腹と見え、怒りの隠し切らない顔でずかずかと青龍の元までやって来る。
そんな姿に青龍は内心舌打ちをこぼせば冷ややかな目で見つめた。
鬼の一匹や二匹、神獣の身なら消すことも容易い。
だが変にここで争い後々彼女に怒られるのだけは避けたい。
仕方なく今は踏みとどまった。
「何かご用ですか」
愛想のいい笑みを浮かべ顔を上げれば、向こうはピタリと足を止めジッとコチラを観察してきた。
「…お前」
白夜は青龍の体を下から上にじっくりと凝視すれば動かなくなった。
何を考えてるか分からないその顔に青龍も眉をひそめる。
「…あ~まじか。そういうことかよ~~」
白夜はそれからやってしまったとでも言いたげに顔に手をあてれば盛大に溜息をついた。時雨を捜す途中、思いがけず奥の方で佇む彼の姿を目にした。それに再び怒りが沸き上がったのだ。時雨に微笑みかけた顔がマスク越しでも伝わる。自分以外の男が時雨に。直ぐにでも殺してやろうかと妖力を纏って詰め寄るもマスクから垂れ下がる文字に目がいった。
青龍
そう書かれた二つの文字。
やっと時雨が相手にしていた存在が神獣であることに気がつき、意味を理解してしまえば自分のしでかした失態に思わず顔を手で覆うしかなかった。
「なあ、お前ってもしや例の白蛇?」
「ええ、今は青龍ですが」
「まあ確かに。言われてみたら神力の匂いがする。しくったわー、全部俺の独断自業自得じゃん」
ガシガシと頭をかく白夜。
青龍はふとその姿に違和感を覚えた。
「(おい、、まさかコイツ。この俺の正体に気づいていなかったのか?)」
確かに以前とはだいぶ姿は変わったが。
だが仮にもコイツは鬼神。
認めたくはないが…神の血を流すとなれば嫌でも同族に近い。そんな同族同士であれば例え姿が変わろうと変化の一つや二つ、分かっていて当然だというのに。
「俺を誰かと勘違いでもしましたか?」
「いや…別にそんなんじゃ。ただ結局は俺の生んだ誤解で時雨を悲しませただけだ」
「…は?」
瞬間、青龍の額にビキリと亀裂の入ったような音が走る。
自分でもビックリするぐらい低い声が出ていた。
彼女を悲しませた、だと?
その言葉に怒りが溢れ、驚く鬼神を前に威圧の姿勢を見える。
「は?おいお前…」
「ああ…なるほど。そういうことですか」
青龍はそれで全てを理解した。
つまり彼の様子から察するに、彼は主と共にいた自分の存在をどっかの浮気野郎とでも勘違いしたわけか。自分の正体に気づくことさえままならず、感情のまま彼女を問いつめればそこでは何らかの誤解を更に生み出し、結果彼女を悲しませたと。
ようは彼女に嫌われたということ。
「(は、だっせ)」
「あ゛?おいテメェ…今なんつった?」
あ、やべぇ、、
声に出ていたようだ。
鬼神を見れば瞳は獲物を射貫くかのような恐ろしい眼差しをしていた。
睨みつける体からは禍々しいオーラが滲み出る。
「はぁ、めんどくせ」
上手く隠してきたつもりだったのに。
彼女を怖がらせないよう、細心の注意を払って優しい優男を演じ続けるつもりだった。だがここまできたら正直それもどうでも良くなってしまった。
「勝手に彼女を誤解して。勝手に彼女を傷つけて。だ~いすきな彼女に嫌われた感想、いかがです?」
「は、やっぱりな!そっちがテメェの本性か。この猫かぶり野郎が」
白夜はイラついた顔で青龍を指させば笑い出した。
妖力で威嚇してやれば負けじと青龍も神力を放ち白夜を威嚇する。
互いに睨みをきかせれば辺りには強い衝撃が生まれた。
壁には亀裂が走り、池で泳ぐ魚は失神して泡を吹き出した。
誰にも止められない。
そんな切羽詰まった状況の中、最初に口を開いたのは青龍の方だった。
おかしい、、、
一体、あの鬼は彼女をどこに連れていったというのだ。
青龍は一人、鬼頭家の敷地内を駆け回れば消えた主の行方を血眼になって探し求めていた。
「チッ、クソ鬼が。俺からあの方を攫いやがって」
舌打ちをこぼせば夜の廊下を突き進む。
すれ違う使用人に声をかけ問いかけるも、誰一人彼女の姿は見ていないとこぼす。屋敷の構造はここに来た当初全て把握した。周を広げ屋敷の端から端まで探ってみるも、彼女の気配は感じられない。鬼神に連れ去られてから時間はさほど経過していない。せっかく彼女と楽しいひとときを送っていたというのに。
嫌がる彼女を無理やり連れて行ったことへの鬼神に対する苛立ちは治まることを知らなかった。
「…クソ。さてはあの鬼、俺に見つからないよう結界を張りやがったな」
彼ほどの力があれば人一人視界から隠すことなど容易い。
だが間違えても自分は四神なのだ。
妖ごときが神獣である自分を差し置いて、こうも高度な術をかけてきたとなると腹が立ってしょうがない。
「アイツ…次に会った時は覚えとけよ、、」
「おいオマエ!!」
「!!」
突如、後ろから聞こえた声。
振り返ればそこには例の鬼神。
相当のご立腹と見え、怒りの隠し切らない顔でずかずかと青龍の元までやって来る。
そんな姿に青龍は内心舌打ちをこぼせば冷ややかな目で見つめた。
鬼の一匹や二匹、神獣の身なら消すことも容易い。
だが変にここで争い後々彼女に怒られるのだけは避けたい。
仕方なく今は踏みとどまった。
「何かご用ですか」
愛想のいい笑みを浮かべ顔を上げれば、向こうはピタリと足を止めジッとコチラを観察してきた。
「…お前」
白夜は青龍の体を下から上にじっくりと凝視すれば動かなくなった。
何を考えてるか分からないその顔に青龍も眉をひそめる。
「…あ~まじか。そういうことかよ~~」
白夜はそれからやってしまったとでも言いたげに顔に手をあてれば盛大に溜息をついた。時雨を捜す途中、思いがけず奥の方で佇む彼の姿を目にした。それに再び怒りが沸き上がったのだ。時雨に微笑みかけた顔がマスク越しでも伝わる。自分以外の男が時雨に。直ぐにでも殺してやろうかと妖力を纏って詰め寄るもマスクから垂れ下がる文字に目がいった。
青龍
そう書かれた二つの文字。
やっと時雨が相手にしていた存在が神獣であることに気がつき、意味を理解してしまえば自分のしでかした失態に思わず顔を手で覆うしかなかった。
「なあ、お前ってもしや例の白蛇?」
「ええ、今は青龍ですが」
「まあ確かに。言われてみたら神力の匂いがする。しくったわー、全部俺の独断自業自得じゃん」
ガシガシと頭をかく白夜。
青龍はふとその姿に違和感を覚えた。
「(おい、、まさかコイツ。この俺の正体に気づいていなかったのか?)」
確かに以前とはだいぶ姿は変わったが。
だが仮にもコイツは鬼神。
認めたくはないが…神の血を流すとなれば嫌でも同族に近い。そんな同族同士であれば例え姿が変わろうと変化の一つや二つ、分かっていて当然だというのに。
「俺を誰かと勘違いでもしましたか?」
「いや…別にそんなんじゃ。ただ結局は俺の生んだ誤解で時雨を悲しませただけだ」
「…は?」
瞬間、青龍の額にビキリと亀裂の入ったような音が走る。
自分でもビックリするぐらい低い声が出ていた。
彼女を悲しませた、だと?
その言葉に怒りが溢れ、驚く鬼神を前に威圧の姿勢を見える。
「は?おいお前…」
「ああ…なるほど。そういうことですか」
青龍はそれで全てを理解した。
つまり彼の様子から察するに、彼は主と共にいた自分の存在をどっかの浮気野郎とでも勘違いしたわけか。自分の正体に気づくことさえままならず、感情のまま彼女を問いつめればそこでは何らかの誤解を更に生み出し、結果彼女を悲しませたと。
ようは彼女に嫌われたということ。
「(は、だっせ)」
「あ゛?おいテメェ…今なんつった?」
あ、やべぇ、、
声に出ていたようだ。
鬼神を見れば瞳は獲物を射貫くかのような恐ろしい眼差しをしていた。
睨みつける体からは禍々しいオーラが滲み出る。
「はぁ、めんどくせ」
上手く隠してきたつもりだったのに。
彼女を怖がらせないよう、細心の注意を払って優しい優男を演じ続けるつもりだった。だがここまできたら正直それもどうでも良くなってしまった。
「勝手に彼女を誤解して。勝手に彼女を傷つけて。だ~いすきな彼女に嫌われた感想、いかがです?」
「は、やっぱりな!そっちがテメェの本性か。この猫かぶり野郎が」
白夜はイラついた顔で青龍を指させば笑い出した。
妖力で威嚇してやれば負けじと青龍も神力を放ち白夜を威嚇する。
互いに睨みをきかせれば辺りには強い衝撃が生まれた。
壁には亀裂が走り、池で泳ぐ魚は失神して泡を吹き出した。
誰にも止められない。
そんな切羽詰まった状況の中、最初に口を開いたのは青龍の方だった。



