何故あんなことをしてしまったのか。
自分でも分からなかった。
ただ会いたくて。
触れたくて。
愛してるって言いたくて。
それでも会えない自分に無償にイライラしてた。
やっとの思いで帰った時、彼女の隣にいるのは自分であった筈なのに。自分以外に向けられた彼女の笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。それが嫌で嫌で堪らなく苦しなって。気づいた時、自分は愛する人を傷つけていた。
「時雨」
そっと呼びかけてみるも反応がない。
暫くして泣き止んだはいいが、今度は黙ったまま。
この状況をどうしようか、、、
女慣れはしている白夜だが、好きな人相手となれば話が違う。
果たしてこういう時はなんて声をかけるのが正解なのか。
惨めなほど、今の白夜にはどうすることも出来ずにいた。
すると時雨はゆっくりとした動作で白夜の腕の中から抜け出す。その場に立ち上がれば、そのまま何も言わず部屋を出ようと歩き出す。
「時雨?」
返事はない。
白夜は怖くなって彼女の動向を見守っていた。
「…い」
「え?」
「白夜様なんて…大っ嫌い」
後ろを振り返った時雨は涙目になりながらそう告げた。
それに息をのんだ白夜だったが、時雨はそんな白夜を置いて勢いよく駆け出した。
「あ、おい!」
白夜が呼び止めようと立ち上がるも、時雨は部屋を飛び出し出て行ってしまう。焦って後を追うように部屋の外へ出るも既に時雨の姿はない。
泣かせるつもりなんてなかったのに、、
ただ彼女の喜ぶ顔が見たかった。
だが結果としてそれは失敗に終わり、二人の間には埋められない穴ができてしまった。ガシガシと頭をかけば、白夜はその場に佇むことしかできずにいたが、そんな自分の姿が更に情けなく思えた。
「どうしてこうも上手くいかないのか、、」
いつだって空回りしてしまう自分が悔しい。
誰かを愛するというのは、こうも自分本位な考えだけでは務まらない話なのかと改めて実感させられた瞬間とも言えた。
「は、ほんと、だっせーな俺」
追いかけたいのに足が動かない。
そもそも自分に彼女を追いかける資格があるのだろうか。
怖がらせてしまった。
無理やりあんなことをしておいて。
もう口も聞いてくれないかもしれない。
会いたくないと思われてしまったかも。
契約上、彼女とは繋がっている。
だから何処へ行こうと気配を辿ることは白夜にとって何ら難しいことではなかった。早く瞳を使い彼女の元へ行ってやるべきではないのか。一度はそう思い、足を動かそうとするも直ぐに立ち止まった。
いや、ダメだ。
こんな時でさえ、力に頼ろうとしている自分がいる。
なんだか犯した罪を簡単に終わらせようとしている自分がいるように思えて腹が立ってしまう。
時雨を傷つけた。
自分の欲情のためだけに。
本能のまま、彼女の体を貪ろうとしたのだ。
ならば尚のこと瞳の力などに頼らず、自分自身の手で探しに行くべきではないのか?
正々堂々、会ったらちゃんと謝ろう。
今度はしっかり彼女と向き合って仲直りができるように。
またその身に触れられるように。
そして彼女が自分を触れてくれるように。
白夜は覚悟を決めれば部屋を後にした。
△▼△
外は暗く薄っすらと茂る森の中。
時雨は泣きながら一人歩き続けていた。
「うぅ…」
涙が止まらない。
拭いたそばから溢れ出る大粒の涙に癒えない心の傷。
嚙まれた部位がじくじくと痛めば悲しくて堪らなかった。
走って走って走り続けて。
気がつけば鬼頭家の裏手に位置する森の中をさまよっていた。
「あれ?ここはどこ?」
走ってきたはいいが、ここはいつも来ている場所とは違う。普段なら灯籠の一つや二つ、道の傍らに置かれていてもおかしくはない。それなのにここには何もない。周りを見回しても暗い森が広がっているだけ。とても不気味だった。
慌てて引き返そうにも躊躇する。
一体、どんな顔で彼に会えばいいのか。
自分はただ貴方に会いたかっただけ。
体を崩した当主に代わり、その仕事を一任された白夜はせわしなく業務に没頭してしまえばまともに顔を合わせる機会もない。その期間、時雨も深夜に会って自分を認めて貰い、青龍とも仲良くなって。白夜に早く報告して喜ばせてあげたいと、その帰りを今か今かと心待ちにしてしていた。改めてここで頑張っていこうと張り切っていたとこだった。
「あ、青龍…置いてきちゃった」
白夜の部屋に連れて行かれてせいで、彼を置き去りにしてしまった。
突然いなくなって心配しているだろうか。
白夜に対して嫌いだなんて…本当なら思ってもいない言葉を投げかけ出てきてしまった。時雨は罪悪感でいっぱいになると立ち止まり、やっぱり戻ろうと来た道を引き返そうとした。
「ア゛ァ…」
「…え?」
突如、辺りには不気味な声が鳴り響く。
何かが…こっちに向かって歩いて来る音がした。
視界を凝らして意識を集中させれば足音が段々と近づいてくる。それに伴い声の正体もハッキリとしてくる。
「グルルルル…ア゛ァ、、」
「ひっ、、!何よ…あれ」
自分でも分からなかった。
ただ会いたくて。
触れたくて。
愛してるって言いたくて。
それでも会えない自分に無償にイライラしてた。
やっとの思いで帰った時、彼女の隣にいるのは自分であった筈なのに。自分以外に向けられた彼女の笑顔が脳裏に焼き付いて離れない。それが嫌で嫌で堪らなく苦しなって。気づいた時、自分は愛する人を傷つけていた。
「時雨」
そっと呼びかけてみるも反応がない。
暫くして泣き止んだはいいが、今度は黙ったまま。
この状況をどうしようか、、、
女慣れはしている白夜だが、好きな人相手となれば話が違う。
果たしてこういう時はなんて声をかけるのが正解なのか。
惨めなほど、今の白夜にはどうすることも出来ずにいた。
すると時雨はゆっくりとした動作で白夜の腕の中から抜け出す。その場に立ち上がれば、そのまま何も言わず部屋を出ようと歩き出す。
「時雨?」
返事はない。
白夜は怖くなって彼女の動向を見守っていた。
「…い」
「え?」
「白夜様なんて…大っ嫌い」
後ろを振り返った時雨は涙目になりながらそう告げた。
それに息をのんだ白夜だったが、時雨はそんな白夜を置いて勢いよく駆け出した。
「あ、おい!」
白夜が呼び止めようと立ち上がるも、時雨は部屋を飛び出し出て行ってしまう。焦って後を追うように部屋の外へ出るも既に時雨の姿はない。
泣かせるつもりなんてなかったのに、、
ただ彼女の喜ぶ顔が見たかった。
だが結果としてそれは失敗に終わり、二人の間には埋められない穴ができてしまった。ガシガシと頭をかけば、白夜はその場に佇むことしかできずにいたが、そんな自分の姿が更に情けなく思えた。
「どうしてこうも上手くいかないのか、、」
いつだって空回りしてしまう自分が悔しい。
誰かを愛するというのは、こうも自分本位な考えだけでは務まらない話なのかと改めて実感させられた瞬間とも言えた。
「は、ほんと、だっせーな俺」
追いかけたいのに足が動かない。
そもそも自分に彼女を追いかける資格があるのだろうか。
怖がらせてしまった。
無理やりあんなことをしておいて。
もう口も聞いてくれないかもしれない。
会いたくないと思われてしまったかも。
契約上、彼女とは繋がっている。
だから何処へ行こうと気配を辿ることは白夜にとって何ら難しいことではなかった。早く瞳を使い彼女の元へ行ってやるべきではないのか。一度はそう思い、足を動かそうとするも直ぐに立ち止まった。
いや、ダメだ。
こんな時でさえ、力に頼ろうとしている自分がいる。
なんだか犯した罪を簡単に終わらせようとしている自分がいるように思えて腹が立ってしまう。
時雨を傷つけた。
自分の欲情のためだけに。
本能のまま、彼女の体を貪ろうとしたのだ。
ならば尚のこと瞳の力などに頼らず、自分自身の手で探しに行くべきではないのか?
正々堂々、会ったらちゃんと謝ろう。
今度はしっかり彼女と向き合って仲直りができるように。
またその身に触れられるように。
そして彼女が自分を触れてくれるように。
白夜は覚悟を決めれば部屋を後にした。
△▼△
外は暗く薄っすらと茂る森の中。
時雨は泣きながら一人歩き続けていた。
「うぅ…」
涙が止まらない。
拭いたそばから溢れ出る大粒の涙に癒えない心の傷。
嚙まれた部位がじくじくと痛めば悲しくて堪らなかった。
走って走って走り続けて。
気がつけば鬼頭家の裏手に位置する森の中をさまよっていた。
「あれ?ここはどこ?」
走ってきたはいいが、ここはいつも来ている場所とは違う。普段なら灯籠の一つや二つ、道の傍らに置かれていてもおかしくはない。それなのにここには何もない。周りを見回しても暗い森が広がっているだけ。とても不気味だった。
慌てて引き返そうにも躊躇する。
一体、どんな顔で彼に会えばいいのか。
自分はただ貴方に会いたかっただけ。
体を崩した当主に代わり、その仕事を一任された白夜はせわしなく業務に没頭してしまえばまともに顔を合わせる機会もない。その期間、時雨も深夜に会って自分を認めて貰い、青龍とも仲良くなって。白夜に早く報告して喜ばせてあげたいと、その帰りを今か今かと心待ちにしてしていた。改めてここで頑張っていこうと張り切っていたとこだった。
「あ、青龍…置いてきちゃった」
白夜の部屋に連れて行かれてせいで、彼を置き去りにしてしまった。
突然いなくなって心配しているだろうか。
白夜に対して嫌いだなんて…本当なら思ってもいない言葉を投げかけ出てきてしまった。時雨は罪悪感でいっぱいになると立ち止まり、やっぱり戻ろうと来た道を引き返そうとした。
「ア゛ァ…」
「…え?」
突如、辺りには不気味な声が鳴り響く。
何かが…こっちに向かって歩いて来る音がした。
視界を凝らして意識を集中させれば足音が段々と近づいてくる。それに伴い声の正体もハッキリとしてくる。
「グルルルル…ア゛ァ、、」
「ひっ、、!何よ…あれ」



