外に出れば資料に目を通すこともない。
それほど仕事という概念に放棄的な態度を示すくせに、何をやらせても余裕気な顔で全てやってのけてしまう。生まれ持った力と能力に比例してこの千里眼がそれを可能にさせるからだ。
「また使ったのですか?」
その瞳は全てを見通す。
他人の本質も気配も妖力も。
だからこそ貴重であり危険でもある。
鬼頭白夜は生きてるだけで常に命を狙われ、幼き頃より懸賞金までかけられていた。いつその首を狙おうか闇で機会を伺う輩が潜めば危険と隣り合わせな環境であることは今も変わらないのだから、公の場でむやみに使うことだけは控えて頂きたい。
「その瞳がどれほど貴重なものか。深夜様からも注意されてると言うのに…」
「時短時短。つ~か、そんな薄っぺらな資料送られてきたとこで結果は見えてるだろ。意味ねぇって。わざわざコッチが顔出すまでもない」
例の書類とは別に先方が同封してきたのは女性の顔写真が乗ったお見合い写真。
「全く…ご丁寧に見合いの釣書まで送付してきやがって」
白夜は小言をこぼして撤夜から資料をひったくるとウゲっと顔を歪めた。どうやら主が商談に行きたがらない理由はここにあったよう。
「契約ついでに自分の娘を嫁がせて悪足搔きしようとしてんのバレバレ。故夏家の援助する名家とはいえ、所詮は番犬。しかもコイツ専らの親バカらしいじゃん?」
噂には聞いたことがある。
今回商談を持ち掛けてきた男には娘が一人いるようで、男は大層この娘を溺愛しているようだった。しかも最悪なことに以前何気なく娘が一人外出中のところ、ふらりとそこを通りかかったらしい我が主に見事にハートを撃ち抜かれてしまったというのだ。それからは寝ても覚めても彼のことが忘れられないからと。哀れに思った父親は今回の事業と並行して見合いを持ち掛けてきたという算段。
「若もつい最近まで見合い話が絶えませんでしたからね。しかしまた鬼頭家へ見合いとは。なかなか酷なことをなさる」
「権力もねぇうちから人の顔色伺おうなんざ、百年早ぇつーの。ほんとそういうとこ腹立つ」
「ですが調べたところによりますと、娘は心底あなたにご熱心のご様子。最近では食事も満足に喉を通らないと聞きますがね」
「は?やめろよ気色悪い。だから行きたくねぇんだよ。変に勘違いされても後々面倒だ。社風すら惹かれねぇ、見込みなしだ」
顔を歪ませると盛大に溜息をつく。
この様子から察するに本気で契約する気はないようだ。
「まあ今回ばかりは…私もどうかとは思ってましたが」
「だろ?くだらねぇ取引に馳せ参じる義理はねぇ。シカトこいてろ。その紙くずは捨てとけ」
「また私がやるんですか…」
よく考えれば面倒ごとがここまで大きくなったのって、、
ある意味アンタが仕事放棄してぶらつくことがなければ、未然に防げていた話ではないのか?まあそんなこと口が裂けても当の本人には言えないが。
「あ~どうすっかな…。こっちも似合いそうだし」
「…」
一体、いつまでここに居座るつもりなのだ。
本来ならば長時間立ち止まることもない女性ものの品が並ぶブース通りを男が二人。撤夜はどうにも居心地が悪くて仕方なかった。
それほど仕事という概念に放棄的な態度を示すくせに、何をやらせても余裕気な顔で全てやってのけてしまう。生まれ持った力と能力に比例してこの千里眼がそれを可能にさせるからだ。
「また使ったのですか?」
その瞳は全てを見通す。
他人の本質も気配も妖力も。
だからこそ貴重であり危険でもある。
鬼頭白夜は生きてるだけで常に命を狙われ、幼き頃より懸賞金までかけられていた。いつその首を狙おうか闇で機会を伺う輩が潜めば危険と隣り合わせな環境であることは今も変わらないのだから、公の場でむやみに使うことだけは控えて頂きたい。
「その瞳がどれほど貴重なものか。深夜様からも注意されてると言うのに…」
「時短時短。つ~か、そんな薄っぺらな資料送られてきたとこで結果は見えてるだろ。意味ねぇって。わざわざコッチが顔出すまでもない」
例の書類とは別に先方が同封してきたのは女性の顔写真が乗ったお見合い写真。
「全く…ご丁寧に見合いの釣書まで送付してきやがって」
白夜は小言をこぼして撤夜から資料をひったくるとウゲっと顔を歪めた。どうやら主が商談に行きたがらない理由はここにあったよう。
「契約ついでに自分の娘を嫁がせて悪足搔きしようとしてんのバレバレ。故夏家の援助する名家とはいえ、所詮は番犬。しかもコイツ専らの親バカらしいじゃん?」
噂には聞いたことがある。
今回商談を持ち掛けてきた男には娘が一人いるようで、男は大層この娘を溺愛しているようだった。しかも最悪なことに以前何気なく娘が一人外出中のところ、ふらりとそこを通りかかったらしい我が主に見事にハートを撃ち抜かれてしまったというのだ。それからは寝ても覚めても彼のことが忘れられないからと。哀れに思った父親は今回の事業と並行して見合いを持ち掛けてきたという算段。
「若もつい最近まで見合い話が絶えませんでしたからね。しかしまた鬼頭家へ見合いとは。なかなか酷なことをなさる」
「権力もねぇうちから人の顔色伺おうなんざ、百年早ぇつーの。ほんとそういうとこ腹立つ」
「ですが調べたところによりますと、娘は心底あなたにご熱心のご様子。最近では食事も満足に喉を通らないと聞きますがね」
「は?やめろよ気色悪い。だから行きたくねぇんだよ。変に勘違いされても後々面倒だ。社風すら惹かれねぇ、見込みなしだ」
顔を歪ませると盛大に溜息をつく。
この様子から察するに本気で契約する気はないようだ。
「まあ今回ばかりは…私もどうかとは思ってましたが」
「だろ?くだらねぇ取引に馳せ参じる義理はねぇ。シカトこいてろ。その紙くずは捨てとけ」
「また私がやるんですか…」
よく考えれば面倒ごとがここまで大きくなったのって、、
ある意味アンタが仕事放棄してぶらつくことがなければ、未然に防げていた話ではないのか?まあそんなこと口が裂けても当の本人には言えないが。
「あ~どうすっかな…。こっちも似合いそうだし」
「…」
一体、いつまでここに居座るつもりなのだ。
本来ならば長時間立ち止まることもない女性ものの品が並ぶブース通りを男が二人。撤夜はどうにも居心地が悪くて仕方なかった。



