『シグレ…シグレ』
声が聞こえる。
ふわりと軽くなった感覚を体越しに感じれば目を開けた。
辺りは一面真っ白な世界がどこまでも広がっていて、視界を遮る邪魔なものは何もない。
不思議と怖くはなかった。
この景色を覚えている。
ここに来るのはいつぶりだろう。
こうしてここに立っている時間は自分が自分ではないような気がして、決して気分が良くなることはないけれど、それでいて心地よくもあった。
ふと気配の強くなった方へ目を向ける。
視線の先、そこに彼らはいた。
『シグレ』
『シグレ』
「うん、そうだよ。いきなりすぎてビックリしちゃった」
黒いモヤから覗いた白い目。
姿は未だ見せてはくれず、ろうそくのようにユラユラと揺れる式神達を時雨は見つめた。長年に渡って八雲家の研究所に封印されていた彼らは術師に憑依させることを目的とした悪行罰示神。
強大で邪悪な力は多くの術師の命を奪い、時雨の母もまた死んでいった。
だからあの日、時雨は彼らを解放してあげた。
もう苦しまなくて済むように。
誰も傷つける心配がないように。
今度は自分が契約をすることで、こうしてこの領域内に閉じ込めている。
少しずつでいい。
これからは彼らとも意思疎通を図らなければならないから。
この先もずっとここに閉じ込めておくだなんて。
彼らが大人しくしてくれる保証はどこにもないのだから。
『クル』
「え?」
式神はユラユラと揺れ囁くように小さく声を漏らす。
『ムカエ…クル…クルヨ』
『クル、モウスグ…』
「来る?一体何のこと?」
『ミカ…ミカミノ…』
だが式神のメッセージは最後まで聞き取ることできず視界が揺れた。
ぎょっとして辺りを見回せば背景はどんどんと薄れ消え始めていく。
慌てて式神に視線を戻すと彼らはもう半分と満たなかった。
「あ、待って!」
消えてしまう!
時雨は声を聞きとろうと手を伸ばすも式神は消えてしまう。
それを合図に時雨の体も薄れれば、意識は静かに眠りの世界へと沈んでいくのだった。
声が聞こえる。
ふわりと軽くなった感覚を体越しに感じれば目を開けた。
辺りは一面真っ白な世界がどこまでも広がっていて、視界を遮る邪魔なものは何もない。
不思議と怖くはなかった。
この景色を覚えている。
ここに来るのはいつぶりだろう。
こうしてここに立っている時間は自分が自分ではないような気がして、決して気分が良くなることはないけれど、それでいて心地よくもあった。
ふと気配の強くなった方へ目を向ける。
視線の先、そこに彼らはいた。
『シグレ』
『シグレ』
「うん、そうだよ。いきなりすぎてビックリしちゃった」
黒いモヤから覗いた白い目。
姿は未だ見せてはくれず、ろうそくのようにユラユラと揺れる式神達を時雨は見つめた。長年に渡って八雲家の研究所に封印されていた彼らは術師に憑依させることを目的とした悪行罰示神。
強大で邪悪な力は多くの術師の命を奪い、時雨の母もまた死んでいった。
だからあの日、時雨は彼らを解放してあげた。
もう苦しまなくて済むように。
誰も傷つける心配がないように。
今度は自分が契約をすることで、こうしてこの領域内に閉じ込めている。
少しずつでいい。
これからは彼らとも意思疎通を図らなければならないから。
この先もずっとここに閉じ込めておくだなんて。
彼らが大人しくしてくれる保証はどこにもないのだから。
『クル』
「え?」
式神はユラユラと揺れ囁くように小さく声を漏らす。
『ムカエ…クル…クルヨ』
『クル、モウスグ…』
「来る?一体何のこと?」
『ミカ…ミカミノ…』
だが式神のメッセージは最後まで聞き取ることできず視界が揺れた。
ぎょっとして辺りを見回せば背景はどんどんと薄れ消え始めていく。
慌てて式神に視線を戻すと彼らはもう半分と満たなかった。
「あ、待って!」
消えてしまう!
時雨は声を聞きとろうと手を伸ばすも式神は消えてしまう。
それを合図に時雨の体も薄れれば、意識は静かに眠りの世界へと沈んでいくのだった。



