僕は必死で謝る。今度からは、もっと良い子になりますから。許してください、と。
 その直後、畑中は恐怖によって脳が誤作動を起こしてしまったのか、意味不明なダンスを踊り出した。
 「おい畑中! 何してんだ」
 畑中は、僕の声など聞こえていないのかもしれない。不気味な踊りをやめる気配はなかった。
 その後、幽霊も同じような気味の悪い動きをし出したため、僕は我慢ならなかったのだが、踊る畑中と幽霊と一緒にいるこの状況が恐ろしすぎて、身体が動かなかった。汗が止まらない。
 少しすると、幽霊がそそくさと逃げ出してしまった。
 「なんだよ、これ」
 未だ踊り続ける畑中。ようやく身体が動いた僕は、先ほど来たトンネルの向こうへと逃げ出した。畑中はもう置いていく。
 畑中の発言が珍しく嘘ではなかったことに対して、「嘘だったらよかったな」と、この時ばかりは、思わずにはいられなかった。


B「はあー。なんで僕なんかが派遣されたんだ」
 僕は上司の命令に心底納得ができなかった。なんで、僕なんかが「地球」に派遣されなければいけないんだ。
 
 「あそこには、自己中心的な奴が多いんだ。『思いやり』という言葉を知らないんだな」
 上司は地球人のことを、会議室でよくそう言った。
 「だから、地球に行く奴は気をつけろよ。あいつらは何をしてくるか分からないからな。食われちゃうかもしれない」