「だけど、初優ちゃんのそばにいたいって気持ちは嘘じゃないから。もっと、初優ちゃんのことを知りたいんだ」
「……っ、!」
……この人はズルい。
こんなことを言われてドキドキしないわけないじゃんか。自惚れだとわかっていても意識してしまう。
少しは、私に興味を持っているのではないかと。
「あ、あの……」
「あ、終わったね。会場、出ようか」
私もなにか言わなくちゃと口を開いたけど言葉を遮られた。ちょうど、というかタイミング悪くプログラムも終わったみたいで、ぞろぞろと人が出口から出ていく。
遥陽さんは立ち上がり、その人たちのあとに続いた。
私も慌てて遥陽さんについて行く。
……私、なんて言おうとしていたんだろう。なんか恥ずかしい……というか、自分の気持ちを素直に言いそうになった。
まだこの気持ちに気づいて、混乱している自分もいる。だけど、これだけははっきりしている。