まだ家出てないのに心臓がバクバクと激しく脈打つ。鏡に写っている自分の表情は恋する乙女とは程遠い表情をしていた。


自分でもわかるほど頬が引きつっていて、冷や汗も出ている。私は自分の手で頬をグリグリと回し、パン、と叩いた。


緊張しても仕方ない。


今日は全力で楽しむって決めたんだから!


私は気合いを入れてから、カバンを肩にかけ、待ち合わせ場所に向かった。


***


午前10時。


待ち合わせ場所の駅のホームに無事ついたけど遥陽さんはまだみたい。昨日の夜、スマホに送られてきた遥陽さんの顔の写真を見ながらドキドキと待っていた。


何度も写真を見返すけど……カッコよすぎない?


昨日、メッセージで写真の交換をした。待ち合わせでもわかるようにと遥陽さんからの提案だった。


私は無難に学校で撮った写真を送ったけどなんだか恥ずかしくて、気が気じゃなかった。制服姿だし、メイクもしてないし……。