バレンタインも終わり、もうすぐ春がくるこの時期。遥陽さんは……あと2ヶ月後には三年生なのだ。
1個しか歳が変わらないと安心したばかりなのになんだか焦りを感じてしまう。
「受験、するんですか……?」
『受験はするねー。一応進学希望だから。初優ちゃんは?高校進学校なんでしょ?』
ドクンドクンと早くなる心臓。
なんでか分からないけど一気に不安に襲われた。だけど、そんな気持ちには気付かないふりをして電話を続けた。
そんな気持ちを持っていても遥陽さんと話すのは楽しくて、あっという間に日付けが変わり、翌日の夜中になった。
そろそろお開きにしようかといった話になり、スマホを耳から少し離す。
『あ、初優ちゃんちょっと待った!』
「え?」
向こう側からそう言われ、私はまたスマホを耳元に近づける。
『ねぇ、初優ちゃんの部屋の窓から月って見える?』
「月……ですか?」