もう少し自分が可愛かったらもっとなにかが違ったのかななんて思う日もあった。
「ほら、試合始まるって。早く行こ?」
「あ、待ってよ、初優!」
何かを言いたそうな紗夜に気付かないふりをして先生の声に反応する。紗夜の腕を引っ張りながらコートに向かって走り出す。
このまま、楽しい時間が続けばいいな。
そんなことを思いながら体育の時間を過ごしていた。
週末の日曜日。
私は約束のよる9時の何時間も前からスマホを自分の部屋の机に置き、じっと見つめていた。
ドキドキと騒がしく鳴る心臓を沈めようと何度も深呼吸をするけど全然意味無く、むしろ悪化する一方だった。
楽しみにしていた時間がもうすぐだ。
そう思うのに緊張が勝って冷や汗が止まらなかった。
「初優、ご飯よー」
「はーい」
午後6時30分。
自分の部屋にこもっているとお母さんに呼ばれた。リビングにいても落ち着かなかったので部屋にこもっていたけど夕飯のことをすっかり忘れていた。
私はスマホを充電器に差し込んでからリビングに向かいご飯を食べる。