私はリュックに荷物を詰めると、るいとの待ち合わせ場所に向かった。
校舎を出ると夕日に染まった空が目に入る。
朝よりも気温が低くなり、だいぶ涼しくなった。
私は1人、歩き出して大学の校舎の入口でスマホを見ながらるいが来るのを待つ。通り過ぎる人を横目に、時間を気にしながら、待っていた。
「おまたせ!」
ードキン。
しばらくスマホを見ながら待っていると遠くから、聞き覚えのある男性の声が聞こえた。
その声にドキンと心臓が跳ね上がる。
……え?まさか……。
まさか、ね。ここにいるはずないよね。
だけどその声を聞いて、心臓が跳ね上がるのは、確信しているから。私はその声に何度もドキドキして、ときめいた。
そんな声を忘れるはずがない。
私は恐る恐る顔を上げる。
「……っ、遥陽?」
だけどそれがいけなかった。私は息をするのも忘れて、遠くにいる人を見つめる。そこに居たのは、間違いなく遥陽だ。