朝からこんな話をしているのに嫌な顔ひとつせずそばにいてくれた。



「ねぇ、紗夜」


「ん?」



いつもの中庭で話をしていると、さぁ……と優しい風が頬を撫でるように、通り過ぎていく。


空を見上げると、雲ひとつない青空が広がっていた。



「遥陽と私を出会わせてくれてありがとう。こんな形で終わっちゃったけど、私たちのことを繋げてくれた紗夜にめちゃくちゃ感謝してる」



紗夜がいなかったら、紗夜に出会っていなかったら、遥陽とは一生会わなかったかもしれない。


だから遥陽と私を引き寄せてくれた紗夜にはとても感謝している。



「そんなの……。私のお節介なのに、そんなこと言わないでよー……」


「えっ、な、泣いてる!?」



紗夜に笑顔で感謝の気持ちを伝えると、隣で泣いていた。珍しく私が泣かないで話していたのに、今は紗夜の方が泣いている。


私はびっくりして目をぱちくりさせた。