電話の向こうで息を吸って、はっきりとこう言った。



『……俺と、別れて欲しい』


「……ふっ……ヒック……」



遥陽の告げた言葉が胸の奥深くに突き刺さる。覚悟はしていたけど、実際聞いてみるとそんな覚悟なんて崩れ去った。


涙が止まらない。


嗚咽も止まらない。


涙でぐしゃぐしゃな顔を上げることはできなかった。だけど、電話の向こうでかすかに聞こえる小さな嗚咽。


遥陽も……泣いてるの?



「遥陽っ……もう、私たち、戻れないの?別れるしか……ない、のっ?今日は私、謝って仲直りする予定だったんだよ……?」



本当なら私が謝って仲直りしたいと思っていた。


だけど謝る前に遥陽にそんなこと言われたら、言葉が無くなっちゃうじゃん。


また、気持ちを抑えきれなくなっちゃうじゃん。



『ごめん……。これは、どうしても譲れない……』


「なんでっ、私と別れるなんて言うのぉ!私、まだ遥陽のことっ……」