「うん」



掠れた声で返事をする。


自分でも情けないと思うほど、心は憔悴しきっていて、弱々しかった。



『その前に……。この前は連絡もなしに遅れてごめん。本当にあれは自分でもダメだと思ったし、後悔もした。本当にごめんなさい』


「あれは……しょうがないよ。塾が長引いたんでしょ?あの後言いたいこと言うだけ言って帰っちゃった私も悪いし……お互い様だよ」



夏祭りのあの日。


ダメだとわかっていても怒りのコントロールが出来なくて、遥陽に言葉をぶつけてしまった。


あれは遥陽が最初に悪いとしてもやりすぎたなって反省した。だから、悪いのは遥陽だけじゃない。



『いや、俺が悪い。あの日から明らかに初優を避けちゃったし、自分の気持ちに向き合うのが怖くて。受験勉強の忙しさに甘えて初優のこと、後回しにしてたんだ』



初めて聞く遥陽の本音。


こんなふうに自分の気持ちをちゃんと話してくれるなんて。私は自分の話よりも遥陽の話に耳を傾けた。



『初優から連絡をもらった時、話をしなきゃダメだと思ったけどなかなか気持ちが動かなくて、また長引いたけど……。今日で初優を避けるのを辞める』