声を聞けた。
『ごめんね、連絡するの遅くなって。元気だった?』
「……元気、だったよ。遥陽は?受験勉強、大変じゃない?」
元気じゃないのに元気って言ってしまうのは何故だろう。
遥陽の声を聞けて嬉しいはずなのに、その切ない声色に恐怖すら覚える。これからする話は楽しいものじゃない。
2人の恋を、終わらせるための、話し合いだ。
『大変……だよ。毎日塾ばっかりで、勉強づくし』
ははっと乾いた笑い声が無性に頭の中に響く。
「そっか……」
『うん』
どんな反応をしていいか分からなくて黙り込む。遥陽もつられてなのか、お互いに何を言っていいのか分からなくて、静かな時間が流れた。
話をしないといけないのに……。うごけ、私の口……。
『あのさ……今日は話……あるんだよね』
自分の中で葛藤していると、先に遥陽が話を始めた。
話……という言葉にドクン、と心臓が大きく反応する。