「…………」
あれからどのくらい待っただろう。おそらく数十分だったと思うけど、遥陽を待っている時間は長く感じて。
スマホを見る気にもなれなかった。
「……初優!ごめん、遅くなって」
「遥陽……!」
ぼーっと神社の向こう側の道を見ていると、遥陽が走りながら私の名前を呼んだ。
その声と姿に気づいた私は1歩、足を踏み出そうとした。
「初優、ごめん。本当にごめん。連絡する時間もなくて。いくら塾が長引いたって言ってもこれは……」
「……もう、いいよ」
はぁはぁと息を切らす遥陽は申し訳なさそうに謝るけどどんな言葉も私には響かなかった。
全部言い訳にしか聞こえなくて、耳を塞ぎたくなる。
遥陽はちゃんと遅くてもメッセージはくれたし、悪くないってわかってる。
だけどいろいろ気持ちと頭の整理がつかなくて、気づいたら自分でも驚くくらい低い声を出していた。
「初優……?怒ってる……よね?」