「えー……初優……」
大丈夫だから、と念を押すけど紗夜はやっぱり心配そうに私を見る。
「まぁ……羽衣さんがこう言ってるから……。先に回ってよーぜ」
「もうっ。なんかあったらすぐに連絡しなさいよ!」
私の押しじゃ弱かったけど優希さんが紗夜を引っ張ってくれた。その事に渋々ながらも優希さんについて行く。
私はできるだけ笑顔で手を振り、ふたりが見えなくなるまで見送った。
「……ふっ……ヒック……」
ふたりが見えなくなった瞬間、涙腺が緩くなって自然と涙が溢れた。悲しいわけじゃない。寂しいわけじゃない。
なのに、なんだか涙が止まらなくて。
その場に崩れ落ちるようにしてしゃがみこむ。
なんか、苦しい。遥陽のことを考えると苦しくて苦しくてしょうがない。
こんなわけのわからない感情になったのは初めてで、自分でも戸惑う。
「遥陽……遥陽。会いたい……」
気持ちが溢れて、止まらない。会いたいのに会えないってこんなに苦しいんだ。