ザワザワと夏祭り特有の騒がしさが辺りに響いていて、それだけでワクワクした。


朝の沈んだ気持ちは嘘のように、消え去っていた。



「……初優!おまたせ!」


「紗夜!」



周りをキョロキョロしながら待っていると、前の方から、紗夜ともう1人の男の人が見えた。


名前を呼ぶと、大きく手を振ってくれて、合流した。



「うわぁー!初優の浴衣姿、可愛い♡」


「紗夜こそ。その浴衣、めちゃくちゃ似合ってるよ!」



紗夜に褒められて、嬉しくなった。


お互いに浴衣を着てきていた。男の人も、浴衣を着ていた。



「あ、紹介するね。私の彼氏の優希。初優、はじめましてだもんね」


「はじめまして。紗夜の彼氏の優希です。羽衣さんのことは遥陽から聞いてます」



一通り紗夜との話を終えると、彼を紹介してくれた。私は慌てて頭を下げる。



「あ、は、はじめまして。羽衣初優です。よ、よろしくお願いします!」



緊張して噛んでしまった。