夏祭りの会場の神社は家から徒歩15分くらいにあるのだが余裕を持って行こうと思っていた。
「そうだね。それじゃあ行ってきます」
お母さんの言葉に素直に頷いて、玄関で靴を履き、家を出る。
「行ってらっしゃい。楽しんでね」
お母さんの声を聞きながら、1歩、足を踏み出す。夕方だというのに外はまだまだ暑くて、ちょっと歩いただけで汗がふきでる。
ハンカチで汗を拭いながら、私は待ち合わせ場所まで向かった。
***
「ねぇ、あれ食べたい!」
「花火まだかなー?」
神社に着くと、周りには出店がたくさん出ていた。家族連れやカップル同士、友達同士で集まっている人で溢れかえっていた。
私は待ち合わせ場所の隅っこで、スマホを取り出し、遥陽と紗夜にメッセージを送る。
まだみんなは着いていないらしく、知っている人は見当たらなかった。
『もう着いたよー。待ってるね』
同じ内容のメッセージを紗夜と遥陽に送り、スマホをしまう。