きっと遥陽に出会う前の私だったら知らない人がいるところには行かなかっただろう。
だけど遥陽に出会って、色んなことを経験して。
色んな人と話すことに抵抗はいつの間にかなくなっていた。
『そっか。じゃあ夏祭り、行く方向で決まりだね。優希に連絡しとく』
「うん。私も紗夜に連絡しとくよ」
私の緊張とは裏腹にあっさり決まった夏祭り。
やっぱり私の考えすぎなのかな。ちょっと不安だったけど、楽しみ。
『あー、でもちょっと残念だな』
「え?」
夏祭りに行くことが決まり、ホクホクしていると遥陽がポソりとつぶやく。
その事にドキンとしながら、聞き返した。
『初優と2人きりじゃないのがちょっと残念。ダブルデートもいいけど、やっぱり初優と2人きりも良かったな』
「……っ、遥陽……」
『あー、今すぐ抱きしめたい……』
本日2度目の“抱きしめたい”という言葉。
電話だけど、遥陽の想いが真っ直ぐに伝わってきて、赤面してしまう。