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紗夜とダブルデートの話をしてから数日後。
夏休みに入り、初めての週末。
7月最後の日曜日の夜。今日は遥陽と電話すると約束していた。
私はいつものようにやること全て終わらせて、スマホを握りしめスタンバイしていた。何度電話をしてもなれることの無いこの時間。
ドキドキしたり、まだかなとソワソワしたり。
毎回違う気持ちを持ちながら待っていた。
『そろそろかけてもいい?』
時刻はよる9時ちょうど。
時間ぴったりに遥陽からメッセージが届く。私はドキドキしながら返事を打ち、送信する。
『うん。大丈夫だよ!』
メッセージを送ってすぐにスマホが震え出す。
ブー、ブーというバイブ音と一緒に遥陽の名前が画面に出てくる。
応答のボタンをタップし、スマホを耳に当てる。
「もしもし……」
『もしもし?久しぶり、初優』
ートクン。
緊張しながら電話に出ると、いつもの優しい遥陽の声が聞こえてきて、ほっと安心する。