逃げるのに必死な私だけど、上手くはぐらかすことはできていなかった。
「……まぁ、話したくないなら別にいいけどー」
「なら追求しないでよ〜」
ムゥとくちびるを尖らせて、そっぽをむく紗夜。
私ははぁとため息をついて、テスト用紙をしまい、お弁当を取り出した。
「……ところでさ」
「ん?」
「初優って冷泉さんとどこか行くとか約束はしてるの?」
お弁当を広げていると紗夜が遠慮がちに聞いてくる。さっきまでは食い気味に聞いてきたのに、なんだろう。
「ん〜。まだ決めてないな〜。デートは行こうねって話はしてるけど……向こうは受験生だし……」
遥陽との会話を思い出しながら返事をする。
予定はまだ決めてないけどどこかには行きたいねと話をしていた。ただ、遥陽は大学受験も控えているからあまり迷惑をかけない程度にって私は思っている。
「確かに。うちの彼氏もそうだもんな〜。だけどさ、8月入ってから夏祭りあるじゃん?」