私も私でキスをして幸せな気持ちを忘れられなくて。遥陽の顔をよく見れなかった。
正直、妹さんとの会話はよく覚えていない。
でも……幸せだって感じた気持ちはよく覚えている。
遥陽。
幸せな気持ちを贈ってくれてありがとうね。
ーピピピ、ピピピ……。
帰る時間にスマホのアラームが鳴り響く。
帰る時間を忘れないようにとあれからアラームを設定して、その時まで勉強をしようと遥陽と決めた。
「……時間になっちゃったね。駅まで送るよ。帰りの電車、わかる?」
スマホのアラームを止めて、画面を閉じると遥陽が心配そうに聞いてくる。
「大丈夫だよ。遥陽に教えてもらったから。……ありがとう」
「ん。良かった……はぁ……」
「ちょ、遥陽?」
笑ってお礼を言ったら、急に遥陽がため息をつきながら私を抱きしめる。
私はびっくりしたけど、受け入れて反射的に抱きしめ返す。
いつもはこんな大胆なことしないから、反応に困ってしまうし、戸惑ってしまう。
だけどそんなことも愛おしいと思ってしまう自分もいて自分の心境の変化にも戸惑う。
「……あー、このままずっと一緒にいたい……。初優のこと、帰したくない……」