その言葉にドキンと心臓が跳ね上がる。
家に上がる時はお母さんはいなかったので会うことは出来なかったけど、もしいま小春ちゃんと一緒に帰ってきていたら挨拶しなきゃだよね。
「あー、一緒に帰ってきたけど、また買い物に出かけちゃった。兄ちゃんの彼女に会うの楽しみにしてたんだけど」
ジロっと見られて、うっ……と肩身が狭くなる。
どうやら小春ちゃんは私に会うのに、あまりいい思いをしていないらしく、ずっと敵意の視線を浴びた。
「……全く、母さんは……。わかった。ありがとう」
「うん。じゃ、リビングにいるから……」
遥陽がため息をついてお礼を言った後、小春ちゃんはそのままドアを閉めて、下に降りていった。
その瞬間にドキドキとまた騒がしく鳴る心臓。
ずっと緊張していたせいで、上手く息を吸うことが出来なかったので、ここぞとばかりに何度も深呼吸を繰り返す。