遥陽さんはノートをめくりながらそう呟いた。
「それは、遥陽さんが教えるのが上手いから……。私なんて落ちこぼれなんで、教えてもらわないと分からないんですよ」
遥陽さんの言葉に少しドキッとしながら、自虐的に答えた。
本当に勉強は苦手で、授業についていくのが精一杯な私にとって、テストは地獄だった。
それでもここまで頑張れたのはいつも応援してくれる親や紗夜のおかげ。進学校を選んだのも将来自分のためになるようにとここを選んだ。
「だから、頭のいい遥陽さんとか紗夜はいつも尊敬してるんです。勉強もできて、しっかり青春を楽しんでるの、すごいなって」
「初優ちゃん……」
笑ってそう言った。
ワークをめくり、次の問題を解こうとシャーペンを握る。だけど、それを阻止するように私の手に遥陽さんの手が重なった。
「遥陽さん?」
「……俺が、青春を楽しめているのは初優ちゃんのおかげだよ」
「へ?」