何度か紗夜に教えてもらったけど、そこまで下手だとは思わなかったな。むしろわかりやすいまであったのに。
「はぁ……このままじゃあ夏休み潰れる……」
「いや、頑張る努力をしてから言いなさいよ」
まだ分からないのに、マイナス発言をしてしまった。その事に紗夜が突っ込みながら苦笑い。
「あっ、じゃあ冷泉さんに教えて貰ったら?」
「へ?」
ぼーっとお弁当を眺めていると紗夜のそんな提案に目が点になる。
紗夜にしか教えてもらおうなんて思わなかったから、その発想はなかった。
「ほら、冷泉さん頭いいらしいし、今度の休日にでも。これなら彼氏にも会えてモチベ上がりそうじゃない?」
ウキウキと話す紗夜。
だけど私はずっと険しい顔をしていた。……と思う。
「それは、そう……だけど、遥陽さんの勉強の邪魔にならないかな。私はテストだからあれだけど、向こうは大事な時期だし……」