「当たり前じゃん。私たちだってそう遠くない話しよ?それに、そろそろ夏休みをかけた期末テストも近づいてるしね」


「……へ?」



紗夜に言われて、箸でつまんでいたトマトをポロッと落とした。コロコロと転がるトマトを目で追いながら、頭の中でテストという単語をリピートする。



「……まさか、初優、テストのこと、忘れてたんじゃないでしょうね?もう6月中旬よ?来週にはテスト期間に入っちゃうよ?」


「忘れてたぁぁぁ!」



紗夜に念押しで言われて、教室にあるカレンダーに目をやる。いつの間にか5月は終わっていて、6月に変わっていた。


ウチの高校の期末テストは7月上旬に行われるので、そろそろ勉強を始めないと追いつかない。


進学校というだけあって赤点回避のボーダーラインが高いし、範囲は広い。



「初優、バカじゃないの?本当にテスト忘れるとか、初めて聞いたわよ。それに、この時期にテストあるって去年から分かりきってたでしょ!」


「うぅぅ……だって、なんか初めて彼氏出来て浮かれてたから忘れてた……」



紗夜の呆れたため息が聞こえてくる。


私も自分に呆れてるよ。そりゃ、初めての恋をして、告白されて、恋愛が上手くいっているのだから、浮かれるでしょ。