「ああ〜!消されちゃった!」


「スマホで写真撮ればよかったのに〜。あとどれくらい残ってるの?」



綺麗になっていく黒板を見ながら絶望する私。


元々板書するの遅い方だから授業ペースの早い数学はいつもこうなってしまう。


授業が終わったら写真を取ればいいってわかってるんだけど、そんな暇なかなかないんだよなぁ。



「あと少しだったのに……」


「ほんとだ。ちょっと待ってて。私の移していいから早くお弁当食べよう?」


「本当に!?ありがとう!」



板書が終わらずに机に突っ伏したら紗夜が立ち上がり、自分の数学のノートを貸してくれた。


紗夜にはいつもこんな感じでノートを借りてしまっている。感謝してもしきれない。紗夜がいなかったら多分私は授業についていけてないと思う。



「まぁウチの学校は授業ペースなかなか早いからね〜。進学校と名乗るだけあるなっては思ったよ」



お弁当を広げながら紗夜がつぶやく。