普通なら、ここで泣くだろう。

少し前までは陸斗のことを想い涙していたから、いざ別れるとなると大泣きすると思っていた。


でもどちらかというと、不思議なことに安心感のほうが強い。


なぜなら、今のわたしはベッドから起き上がることですらひと苦労となっていた。

いよいよ、病気の進行を感じ始める。


その夜、変な夢を見た。


場面は、わたしの病室。

目が覚めているのではと思うほど、そっくりの病室に鮮明な映像。


夢の中の病室も真夜中のようで、薄暗くしんと静まり返っている。


「よう」


そんな病室の中に響く――だれかの声。


わたしが驚いて目を向けると、わたしの足元近くのベッドに腰掛ける1人の少年が。


綿あめのようなくせっ毛のふわっとした白い髪。

心配になるほどの血の気のない白い肌。