わたしが生きていられるのはあと少し。

でも、陸斗の人生はまだまだ長い。


わたしがこんなところで、陸斗の足かせになってはいけない。


だから、わたしは覚悟を決めた。



少し前から夏休みにも入り、部活の午前中の練習後に病室にやってきた陸斗。

あと数日後に迫っているサッカー部の試合への意気込みを熱く語っていた。


「…あれ?舞、どうかした?」


不機嫌そうなわたしに気づいて、陸斗が声をかける。


「もしかして…、体調悪い?少し横になるか…?」

「違うの」


わたしは重たいため息をつく。


「…なんか、退屈だなって。陸斗の話ばっかりで」

「あ…。わ…わりぃ」


いつもの様子と明らかに違うわたしに、陸斗は戸惑っている。


「前から思ってたんだけど、陸斗ってそういうところあるよね。サッカーの話になると周りが見えてないっていうか」