「あ…、う…うん!たいしたことないんだけどね。検査が多いから、入院したほうが楽だからって先生が」


本当はそんなことは言われていない。

わたしは入院しながらでないと投薬治療が受けられないから。


わたしが次に自宅に帰るときは――。

“そのとき”だ。


「倒れたって聞いたときはビビったけど、元気そうでよかった」


なにも知らない陸斗は無邪気に笑う。


陸斗は1時間ほど病室にいて、そして帰っていった。


陸斗がいなくなった部屋は急に寂しくなって。

さっき別れたばかりだというのに、もう陸斗に会いたくてたまらなかった。


それくらい、わたしは陸斗のことが好き。


それからも陸斗は空いた時間を見つけては、わたしのお見舞いにきてくれた。

と同時に、あることが頭をよぎる。


『大好きだからこそ、陸斗にはわたしの分まで幸せに生きてほしい』