ノックすると、中から返事が聞こえた。


…陸斗の声だ。


思わず、じわっと目の奥が熱くなる。


陸斗、どんな顔するかな。


わたしはゆっくりとドアを開けた。


「こんにちは〜。…えっと、久しぶり…陸斗」


久々に会う元カレということで、どこか仰々しくなってしまう。


徐々に視線を上げると、目を丸くして驚く陸斗。

その顔は、わたしの想像どおり。


陸斗はどっちに驚いてる?


別れた元カノが突然会いにきたから?

それとも、病気で入院していると思っていた幼なじみが思った以上に元気そうだったから?


陸斗の第一声を楽しみにしていた。

はたして、どんな言葉が出てくるだろうか。


不安よりも、期待のほうが大きかった。


――しかし。


「……だれ?」


発せられたのは、わたしが想像もしていなかった言葉だった。