また何気ない1日の始まり。


いや。

わたしの命のタイムリミットへ、また1日近づいただけ。


あの夢、なんだったんだろう。

わたしの命を延ばすかわりに、記憶をくれって。


…今考えたらバカバカしい。

そんなので病気が治ったら、なにも苦労しない。


わたしは、ふと手鏡に目を移す。

なんだか今日は妙に顔色がいい。


たったそれだけのことだけど――。

今日はいい1日になりそう。


毎朝の日課のような採血。

だけど、なぜか今日はお昼にもう一度採血があった。


「もしかして…、朝の採血でなにかおかしかったんですか?」

「ん〜…。詳しいことがわかったら、また先生から話があると思うから」


看護師さんは言葉を濁す。


なにかが悪化したのかな。

今日はいつもよりも体調がいいと思ってたんだけど。