「…そうかもしれないけど。わたしにとっては大事な記憶なの。だって、もしこれからの人生をまた生きれたって、陸斗を忘れたままなんて…絶対にいやだから」


それに、わたしは覚悟を決めて陸斗と別れた。

もう悔いはない。


「なんかごめんね。わざわざきてもらったのに」

「べつにお前がくれなくたって、他からもらってくるだけなんだからな!」

「そうだね。きっと命を延ばしてほしい人は他にもたくさんいると思うから、そういう人の助けになってあげて」

「オレは人助けのためにやってんじゃねーよ!」


最後は暴言吐きまくりだったけど、死神は徐々に体が透けていって、気づいたらいなくなっていた。


次の日。


「おはようございます、山内さん。今から採血しますが、体調いかがですか?」

「…まあ、いつもどおりって感じです」