「よく考えてみろよ。オレが命を取らなくたって、お前の余命はあと少し。そんな短い命なんてなんの足しにもなんねぇんだよ」


…うっ。

これでも余命を受け入れて生きているというのに、なんなの…この言い草。


「じゃあ、なにしにきたの?」


さっきからどこか上から目線だし、話すのもいやになってきた。

面倒くさそうに受け答えをするわたしに、死神は人さし指を指した。


「喜べ!オレはお前に、“ある契約”を持ちかけにきた」

「…“ある契約”?」


わたしは首をかしげる。


「どんな内容?まさか、命を延ばしてくれるとか?」


適当に言ってみたけど、馬鹿らしくなってきた。

命を奪うと言われる死神が、命を延ばすわけ――。


「そうだよ」


思わぬ回答が返ってきて、わたしは死神を二度見する。