膝下くらいまでの丈の長いレインコートのような白い服。


「だ…、だれ?」


一瞬、天使かと思った。

肌からなにまで全身が白く、あとは背中に羽さえ生えていれば天使そのものだったから。


「お前、もうすぐ死ぬんだってな」


わたしのほうを見て、ニッと笑う少年。


それで確信した。

これは、天使ではないと。


天使ってもっと穏やかな口調のはずだし、人に向かっていきなり「もうすぐ死ぬんだってな」なんて言って笑うとか、どう考えても失礼すぎる。


「…で、だれなの。あんた?」


わたしの口調も変わる。


天使じゃないというのなら――。


「…あ。もしかして、死神…?」


わたしがそう言うと、少年は不気味に笑いながらゆっくりとうなずいた。


「へ〜…。死神って本当に存在するんだ」