ザックが叫ぶと菜穂子は声を上げる間も無く一瞬暗くなり、気づくと病院に着いていた。

「ついた! ありがとう……うっ」
 また菜穂子はうずくまる。歩けないようだ。

「歩けやしないのか?! ……あれしかないか?」
 ザックはまたかんがえた。だが今から使う技も養分を要する。だが苦しむ彼女を前につかわざるおえない。

「よし、捕まってろ!」
「はいっ!」
「ダッシュターボー!」
 一定距離を最高速度で駆け抜ける技をザックは使った。


ヒュン!

「着いた!」
 ザックは入ろうとした患者の前を遮って菜穂子を医師の前に座らせた。

「うわぁああ! なんじゃ君……いや、菜穂子くんではないか!」
 菜穂子よりも、ザックの存在に驚いた医師たちだが身寄りのない菜穂子を心配していた医師は慌てて彼女を横にする。

「菜穂子くん、まだ予定日まで二ヶ月だが……他にも疾病があって気にしてはいたんだ」
「疾病?!」
 また養分と結びつけてしまうザック。
「声がでかい。体重増加が異常でな……それよりも君は誰だ!」

 ザックはギクッとする。見た目で驚く一般人に久しぶりに会ったからでもあるが。

「その……」
 しどろもどろに返答できないザック。
「私をここまで運んでくれたんです!」
「そうか……だ、大丈夫かね?」
 やはり心配する医師たち。

「彼女をなんとかしてくれ!」
「ま、まぁ……あとはこっちに任せておきなさい」
 ザックは息が荒くなってるのに気づいた。養分がやはり減っている。
「あとは何かしてほしいことないか?」
「……あと?」
「まだ足りぬ、もっとなにかしてやりたい!」
 なぜかザックは前のめりになる。やはり養分が足りないようだ。
 菜穂子は困った顔してポケットから写真を取り出した。
「誰だ、この二人は」
 男女二人が写った写真。
「夫……真司と親友よ。夫を見つけてここまで連れてきて!」
 菜穂子は涙を流す。

「今っ?!」
「だってさっきテレポーテーションにダッシュなんたらってやつ使ったからできるかなぁって……うっ!」
 また菜穂子は苦しむ。ザックは慌てて
「わかった! 見つけてくる!」
「え、冗談で言ったのに!」
 ザックは写真を額に当てて念じた。その念じた相手の場所につける技だがもちろんこれも養分を要する。

「サーチ!」
 光ってその場から消えたザック。みんなあっけに取られてる。