神奏のフラグメンツ

「リディアとヒュムノス。奴らがいる状況下で、ここに来るとはな。少し見くびっていたようだ」

ヒューゴは、『境界線機関』という脅威を甘く見ていた。
これが、現在の状況に追い込まれた要因の一つだろう。

「『境界線機関』、思っていたよりも手強いですね」

レンはそのことを見逃していたことを悔やむ。

「一進一退だったとはいえ、リディアとヒュムノスがいる状況下で、この場所を突き止めるとは。少し見くびっていたようです」

レンは『境界線機関』の情報網を甘く見ていた。
これが、現在の状況に追い込まれた要因の一つだろう。

「『破滅の創世』様、必ずや一族の呪いからお救いいたします」

レンが発した決意の言葉は、刹那の迷いすらなかった。

そう――もうすぐで手が届くのだ。
『破滅の創世』の配下達にとって、唯一無二の願い。
神として生きたい。
それを奏多が選ぶだけで――。

『破滅の創世』が示した神命。
それは絶対に成し遂げなくてはならない。
遥か彼方より、望みはたった一つだけだった――。

『破滅の創世』の配下達は、主が御座す世界を正そうとする。
その御心に応えるべく献身していた。
それはこのまま『破滅の創世』を人という器に封じ込め続け、神の力を自らの目的に利用するという一族の上層部の悲願とは相反するものだった。
しかし、今、この場には奏多にとって大切な存在である結愛がいる。
そして、ヒューゴ達、一族の上層部の者達と、『境界線機関』のリーダー、司とその大部隊がいる。
この状況を変革させる手段を用いようとしていたレンにとっては望ましくない状況だった。

この場に集った者達。

圧倒的な不利、後手に回る後手、それでも生き残った者達は希望を捨てていない。
それぞれが抱く感情は違えど、今ここに反撃の狼煙が上がった。

「これなら……!」
「何とか、なっちゃいます!」

結愛が喜色満面にうなずくと、奏多は手を上げる。
バチンとハイタッチすると、心まで軽くなるような気がした。

「でも、『破滅の創世』の配下達の狙いは俺だ。何とかしないと……」

改めて戦局を見据えた奏多は置かれた状況を重くみる。
その時、奏多は異変に気づいた。

「慧にーさん、攻撃が来る!」

奏多がそう呼びかけた途端、夜霧の向こうから無数の雷撃が飛んでくる。
ヒュムノスが招いたのは無慈悲に蹂躙する雷光。
結愛達には……悲鳴の声の一つすら上げる時間は与えられなかった。
その前にヒュムノスが招いた致命的な雷撃が結愛達へと放たれていたからだ。
だが――。