「もちろん、ここだ」
「ですが、ここは……世界会合の会場で――」
「つべこべ言うな。ここが適任なんだよ」
一族の上層部の一人がそうつぶやくものの、ヒューゴの決定は変わらない。
半ば強引に、この地を戦地にすることにしたのだ。
――世界会合の会場を戦地にする。
今回の決定を受けて、多くの人達が別の場所に移動するために、自動車やバスに乗り込んで避難することになった。
その上、肝心のヒューゴ達は暴動の地に向かわず、戦闘準備を整えている。
置かれた状況を把握できないまま、奏多達は傍観しているしかなかった。
「ヒューゴ、一体、どういうつもりだ?」
「まあ、俺はここで死ぬつもりはないからな。できる限りの揺さぶりをかけさせてもらおうっていう話なだけさ」
違和感を覚えた慧が、そのことを問いただしたことで、奏多達はようやく、ヒューゴ達の思惑を知ることになった。
「揺さぶり?」
「その通りです」
そう前置きして、一族の上層部の一人から告げられたこの地に留まる理由はあまりにも重すぎた。
この世界のみならず、多世界全てを巻き込んでしまう火種となりかねぬほどに。
「『破滅の創世』の配下達の足止め……」
「……ほええ、別の世界の人達やベアトリーチェ様の配下の人達と手を組まれないために」
思わぬ事実を前にして、奏多と結愛は言葉が出なかった。
それを見越して、一族の上層部の一人は話を続ける。
「はい。別の世界の者達は我々、一族の者だけではなく、この世界全ての者を許さないでしょう。彼らが『破滅の創世』の配下達と手を組めば、間違いなく、この世界は滅びます」
一族の上層部という存在と決して交わることがないもの。
『破滅の創世』の配下と呼ばれる者達は、一族の者共々、この世界を破壊し、『破滅の創世』の神の権能を取り戻そうとしている。
彼らは、奏多が『破滅の創世』としての記憶を完全に取り戻した後、奏多の安全を確保した上でこの世界を滅ぼすだろう。
そして……。
「世界の一つを滅ぼす、それは膨大で恐ろしく強大無比な破滅の力です。そして、その滅びの過程で、他の――数多の世界が巻き添えを食う可能性があるのです。そのリスクを背負っても、別の世界の者達は我々から、奏多様を取り戻したいのでしょう」
一族の上層部の一人が深刻な面持ちで告げる。
苦渋に満ちたその顔からは、その奥にある感情の機敏までは読みきれない。
「あらゆる物事は『立場』が変われば『見え方』が変わるものです。もはや、この世界を守る方法は一つ。『破滅の創世』様に、この場に留まって頂くしか他はないのです」
少なくともこの場にいる一族の上層部は、半ば盲目的に――あるいは狂信的にそう信じていた。
数多の世界の可能性を取り込んだこの世界で繰り返される『破滅の創世』という神の加護を用いた実験と解析。
その過程で顕現する『破滅の創世』の配下達という存在は、一族の上層部にとって看過できないものになっていた。
「ですが、ここは……世界会合の会場で――」
「つべこべ言うな。ここが適任なんだよ」
一族の上層部の一人がそうつぶやくものの、ヒューゴの決定は変わらない。
半ば強引に、この地を戦地にすることにしたのだ。
――世界会合の会場を戦地にする。
今回の決定を受けて、多くの人達が別の場所に移動するために、自動車やバスに乗り込んで避難することになった。
その上、肝心のヒューゴ達は暴動の地に向かわず、戦闘準備を整えている。
置かれた状況を把握できないまま、奏多達は傍観しているしかなかった。
「ヒューゴ、一体、どういうつもりだ?」
「まあ、俺はここで死ぬつもりはないからな。できる限りの揺さぶりをかけさせてもらおうっていう話なだけさ」
違和感を覚えた慧が、そのことを問いただしたことで、奏多達はようやく、ヒューゴ達の思惑を知ることになった。
「揺さぶり?」
「その通りです」
そう前置きして、一族の上層部の一人から告げられたこの地に留まる理由はあまりにも重すぎた。
この世界のみならず、多世界全てを巻き込んでしまう火種となりかねぬほどに。
「『破滅の創世』の配下達の足止め……」
「……ほええ、別の世界の人達やベアトリーチェ様の配下の人達と手を組まれないために」
思わぬ事実を前にして、奏多と結愛は言葉が出なかった。
それを見越して、一族の上層部の一人は話を続ける。
「はい。別の世界の者達は我々、一族の者だけではなく、この世界全ての者を許さないでしょう。彼らが『破滅の創世』の配下達と手を組めば、間違いなく、この世界は滅びます」
一族の上層部という存在と決して交わることがないもの。
『破滅の創世』の配下と呼ばれる者達は、一族の者共々、この世界を破壊し、『破滅の創世』の神の権能を取り戻そうとしている。
彼らは、奏多が『破滅の創世』としての記憶を完全に取り戻した後、奏多の安全を確保した上でこの世界を滅ぼすだろう。
そして……。
「世界の一つを滅ぼす、それは膨大で恐ろしく強大無比な破滅の力です。そして、その滅びの過程で、他の――数多の世界が巻き添えを食う可能性があるのです。そのリスクを背負っても、別の世界の者達は我々から、奏多様を取り戻したいのでしょう」
一族の上層部の一人が深刻な面持ちで告げる。
苦渋に満ちたその顔からは、その奥にある感情の機敏までは読みきれない。
「あらゆる物事は『立場』が変われば『見え方』が変わるものです。もはや、この世界を守る方法は一つ。『破滅の創世』様に、この場に留まって頂くしか他はないのです」
少なくともこの場にいる一族の上層部は、半ば盲目的に――あるいは狂信的にそう信じていた。
数多の世界の可能性を取り込んだこの世界で繰り返される『破滅の創世』という神の加護を用いた実験と解析。
その過程で顕現する『破滅の創世』の配下達という存在は、一族の上層部にとって看過できないものになっていた。



