神奏のフラグメンツ

「ほらほら、私の予感は当たるんです。だから、奏多くん、大丈夫です!」
「そうだったな」

結愛の素直な物言いに、奏多は思わず苦笑する。
『境界線機関』の基地本部の入口にきた時よりもぴんと伸びた背筋も、まっすぐな瞳に映された希望も。
なによりも、それら全てがこれより先を進むことを決意した彼女の覚悟の表れのようだった。
だからこそ、この戦いを投げ捨てることなどできないとばかりに、結愛は思いの丈をぶつける。

「絶対に負けませんよ! 私は奏多くんが……『破滅の創世』様が大好きですから!」
「結愛、敵に近づきすぎないようにね」

観月は警告しつつも、ありったけの力をカードへと籠めた。

「結愛、カードの力を同時に放って撹乱させるわよ!」
「はい、お姉ちゃん、ナイスです! グッジョブです!」

観月の提案に、結愛は表情を喜色に染める。
導くのは起死回生の一手。
観月と結愛は並び立つと、カードを操り、約定を導き出す。

「降り注ぐは星の裁き……!」

その刹那、立ちはだかるレン達へ無数の強大な岩が流星のごとく降り注ぐ。
観月が振るうカードに宿る力の真骨頂だ。

「行きますよ! 降り注ぐは氷の裁き……!」

さらに氷塊の連射が織り成したところで、結愛は渾身の猛攻を叩き込む。瞬時に氷気が爆発的な力とともに炸裂した。
カードから放たれた無数の強大な岩と氷柱は混ざり合ってレン達を突き立てようとするが、――全てが無干渉に通り抜けていく。

「無駄ですね」
「無駄じゃないですよ! 『破滅の創世』様の配下さん達の意識をこちらに向けさせることに成功しましたから!」

レンが事実を述べても、結愛は真っ向から向き合う。

「それに、この場にいるのは私だけじゃないですから!」

結愛の意気込みに応えるように。

「観月。これ以上、被害を出さないためにも、ここで何としても食い止めるぜ!」
「分かったわ」

様々な思いが過りつつも、慧と観月は動き出す。

「『破滅の創世』の配下達、一族の上層部、どちらも味方ではないわ。一族の上層部の者達は足止めを食らっているけれど、ヒューゴ達はこの混乱した状況を利用して、奏多様を狙ってくるかもしれない」

そこに疑いを挟む余地はない。
観月が口にしたその言葉が全てを物語っていた。
奏多と結愛の身を護るために、慧達がこの現状から一歩踏み出した、その刹那――。

「混乱した状況。なら、当然、俺達はそれを利用させてもらうとするかねぇ」

不意に、この場に新たな声が響く。
慧と観月が慌てて振り向くと、そこにはヒューゴが立っていた。
その背後には、奏多を待ち構えていた一族の上層部の者達。
そして、ヒューゴに付き添っていた一族の上層部の者達もいる。