「奏多くん、負けないでください!」
「……結愛」
奏多の揺れる眸を見つめ、結愛は縋るように彼の腕に掴まる。
「お願いします。奏多くん、負けないでください……」
涙色に染まる指先に。
この時間が永遠に続けば良いと――結愛は願いながら。
だからこそ、今のままで過ごすわけにはいかない想いがある。
「『破滅の創世』様にとって、人の心は不要なものかもしれないです。……でも、奏多くんが心を知らなければ、私はこんなにも奏多くんを好きになることも、愛おしく思うこともなかったんです」
『破滅の創世』としての奏多の意志を、結愛は否定しない。
ただ、今の想いを伝えたいだけ――。
「私は奏多くんが……『破滅の創世』様が大好きです」
結愛は知っている。
そんな素敵な想いが、最期までこの胸に寄り添う理由を。
「だから、この世界で奏多くんと一緒にずっとずっと生きていきたいです! 奏多くんと同じ光景を――明日に繋がる未来を見たいから!」
結愛が示したのは希望という名の確固たる意思。
決して変わることのない願いだった。
「本当の本気の本物の最大級の願い事です!」
「ゆ……結愛……」
そう懇願した結愛と戸惑う奏多の視線が再び、交差する。
「……奏多くん……、だから、負けないでください……。あなたがこの世界にいなきゃ、嫌です! あなたがそばにいなきゃ、嫌です!」
言葉は、言葉にすぎない。
約束なんて言葉は特に曖昧で、時としてたやすく霧散してしまう。
それでも二人で歩む未来はこれからも続いていくと、甘く確かな約束を求めて。
「だから、お願いします。奏多くん、あの時、私と交わした約束を信じてください!」
そう言う結愛の目には光るものが浮かんでいた。
何を信じるなんて……そんなの……。
大切な人が覚悟を決めて、自分を切望する。その独占じみた想いに、奏多の胸が強く脈打った。
そんなの決まっているだろ……!
全てを包み込むような温かな光景は、張り詰めていた奏多の心を優しく解きほぐす。
その時、心中で無機質な声が木霊した。
『約束など不要なものだ。愚者の言葉に、耳を貸す必要などない』
人は、永遠ではない。
そんなことは分かり切っていることなのだけど。
それでも。
それでも――
「どんなことがあっても、俺は結愛と交わした約束を『信じている』!」
言葉は所詮、言葉だ。
音の波は空気に触れれば溶けていく。
それでも奏多はここで終わらせたくない。
そう強く願った瞬間の想いは、いまだ胸の内でくすぶっている。
熾火のように燃え尽きず、赤々と熱するままに己を昂らせていた。
「……結愛」
奏多の揺れる眸を見つめ、結愛は縋るように彼の腕に掴まる。
「お願いします。奏多くん、負けないでください……」
涙色に染まる指先に。
この時間が永遠に続けば良いと――結愛は願いながら。
だからこそ、今のままで過ごすわけにはいかない想いがある。
「『破滅の創世』様にとって、人の心は不要なものかもしれないです。……でも、奏多くんが心を知らなければ、私はこんなにも奏多くんを好きになることも、愛おしく思うこともなかったんです」
『破滅の創世』としての奏多の意志を、結愛は否定しない。
ただ、今の想いを伝えたいだけ――。
「私は奏多くんが……『破滅の創世』様が大好きです」
結愛は知っている。
そんな素敵な想いが、最期までこの胸に寄り添う理由を。
「だから、この世界で奏多くんと一緒にずっとずっと生きていきたいです! 奏多くんと同じ光景を――明日に繋がる未来を見たいから!」
結愛が示したのは希望という名の確固たる意思。
決して変わることのない願いだった。
「本当の本気の本物の最大級の願い事です!」
「ゆ……結愛……」
そう懇願した結愛と戸惑う奏多の視線が再び、交差する。
「……奏多くん……、だから、負けないでください……。あなたがこの世界にいなきゃ、嫌です! あなたがそばにいなきゃ、嫌です!」
言葉は、言葉にすぎない。
約束なんて言葉は特に曖昧で、時としてたやすく霧散してしまう。
それでも二人で歩む未来はこれからも続いていくと、甘く確かな約束を求めて。
「だから、お願いします。奏多くん、あの時、私と交わした約束を信じてください!」
そう言う結愛の目には光るものが浮かんでいた。
何を信じるなんて……そんなの……。
大切な人が覚悟を決めて、自分を切望する。その独占じみた想いに、奏多の胸が強く脈打った。
そんなの決まっているだろ……!
全てを包み込むような温かな光景は、張り詰めていた奏多の心を優しく解きほぐす。
その時、心中で無機質な声が木霊した。
『約束など不要なものだ。愚者の言葉に、耳を貸す必要などない』
人は、永遠ではない。
そんなことは分かり切っていることなのだけど。
それでも。
それでも――
「どんなことがあっても、俺は結愛と交わした約束を『信じている』!」
言葉は所詮、言葉だ。
音の波は空気に触れれば溶けていく。
それでも奏多はここで終わらせたくない。
そう強く願った瞬間の想いは、いまだ胸の内でくすぶっている。
熾火のように燃え尽きず、赤々と熱するままに己を昂らせていた。



